マクドナルド、ローソンなど「ロコモコ」で異例コラボのわけ

日本マクドナルド、すかいらーく、ローソンの3社は7月11日にハワイの地元料理「ロコモコ」をテーマにした商品を一斉に発売する。時として競合相手になる外食、小売・流通大手のコラボレーションによる販促キャンペーンは“異例”。背後にはキャンペーンを主導するハワイ州観光局の思惑もあり、日本の消費者にハワイの魅力をアピールすることで伸び悩む観光客の増加を図る。

各社がロコモコの新メニューを開発し、その商品をハワイ州観光局が公認。その中で日本マクドナルドのハンバーガー「ロコモコ」「夏カレーロコモコ」「チーズロコモコ」、すかいらーくが運営するファミレスチェーン・ガストの「チーズ IN ロコモコボウル」、ローソンの「からあげクン ロコモコ デミグラスソース味」については「LOCOMOCO ALLSTARS」と銘打った。

 価格はロコモコが単品で390円(税込)、チーズ IN ロコモコボウルが799円(税別)、からあげクン ロコモコ デミグラスソース味が216円(税込)。

 そのほか、日本マクドナルドのハンバーガー「チーズロコモコマフィン」、炭酸飲料の「マックフィズ ブルーハワイ」「マックフロート ブルーハワイ」、ローソンの「ロコモコ風生パスタ」「和風ロコモコサラダ」「ロコモコ風ハンバーグパン」も公認を受けた。

●夏の定番バーガーに

 日本マクドナルドとハワイ州観光局の接点は2年前にさかのぼる。2015年2月からハワイ州観光局の公認メニューとして、「ロコモコバーガー」のほか、「ハワイアン バーベキューポーク」「ハワイアン パンケーキ ミックスベリー」「パイナップルパイ」「マックシェイク バナナ」を順次販売した。16年5月にもロコモコバーガーを期間限定で発売。

 今年で3回目となるロコモコバーガーについて、日本マクドナルド メニューマネジメント部の若菜重昭上席部長は「(秋の「月見バーガー」や冬の「グラコロ」のように)夏の定番メニューになれば」と話す。

 ローソンも16年からハワイ州観光局公認ウォーター「ハワイアンスプリングス」を首都圏の「ナチュラルローソン」で販売した実績がある。

 ローソン自身、ハワイとの繋がりは深い。91年から年に2度、全国のフランチャイズ店舗が10年間の契約を終え、次の10年も契約を更新した際に、そのオーナーと家族などをペアでハワイに招待するツアーを実施している。「先日もオーナーたち400人とハワイに訪れた。これで累計1万人に上った」と同社の竹増貞信社長は語る。また、現在ハワイに「シェラトン・ワイキキ店」と「モアナサーフライダーウェスティンリゾート&スパ店」の2店舗を構える。

 すかいらーくは過去にハワイ州観光局との取り組みはなかったが、今年6月にハワイ料理専門店「La Ohana(ラ・オハナ)」を横浜・本牧にオープン。ガストでも6月15日からハワイアンフェアを開催中と“ハワイ推し”だ。

 すかいらーくの谷真社長兼CEOは「ロコモコはガスト創業時から提供する『目玉焼きハンバーグ』と親和性が高い。さらに今回のキャンペーンメニューは、年間1000万食売れる人気商品『チーズ IN ハンバーグ』を日本人向けにアレンジした」と自信をのぞかせる。

 ハワイ州観光局のエリック高畑局長は「これまでは個々の企業で取り組んでいたものの、一緒にやることでアピール力はさらに増す」と今回の3社連携の意義を強調する。

●若年層にハワイ観光を

 今回のキャンペーンによって、ハワイに訪れる日本人観光客を増やしたいのがハワイ州観光局の大きな狙いだ。

 現在、ハワイへ訪れる日本人観光客は年間約148万人。97年にピークとなる222万人を記録したが、その後は右肩下がりに。数年前から再び上向き傾向にあるものの停滞感は否めない。

 高畑局長によると、ハワイはリピート率が高く、3回以上訪れたことのある観光客は全体の62%に上る。「一度ハワイに足を運べばファンになる人は多いが、その最初の一歩がハードルになっている」と高畑局長は述べる。そこで新規顧客の開拓、とりわけ若年層の観光客獲得に注力したい考えだ。そうした中で今回の3社は若年層にリーチできる企業であり、期待は大きいという。

 ハワイ州観光局にとっても複数企業との合同キャンペーンは初めてだが、「今後も参画企業を増やしていきたい」と高畑局長は意気込んだ。