ヒアリ駆除剤を行政に無償提供 住友化学、海外で実績

住友化学は20日、強い毒を持ち大規模な繁殖が懸念されている「ヒアリ」の駆除剤を日本の環境省などの行政当局に無償提供すると発表した。専門業者が散布する業務用の薬剤で、有効成分ピリプロキシフェンが女王アリの産卵や幼虫の成長を妨げる。効果があると認められ、需要があれば国内販売を検討する。

製品名は「エスティーム」。子会社の米ベーラントU.S.A.が開発した。台湾やオーストラリアの行政当局がヒアリ対策で使用し、散布から8週間で駆除に成功した実績があるという。

エスティームは粒状でアリが好む餌剤を含む。散布したエスティームをヒアリが巣に持ち帰って摂食するとピリプロキシフェンの効果が表れる。ピリプロキシフェンは様々な昆虫に効果があり、害虫殺虫剤として国内でも実績がある。

ヒアリは神戸港で見つかったのを皮切りに東京都や愛知県、茨城県などで発見が相次ぐ。環境省や国土交通省では全国の港に毒入りの餌をまくなどの対策を急いでいる。最近ではフマキラーも自社製のアリ用殺虫剤で殺虫効果を確認できたと発表した。