南軍象徴、米で撤去の動き加速=白人主義者騒乱を機に―トランプ氏発言が物議

米南部バージニア州シャーロッツビルで12日に起きた白人至上主義者や極右支持者と反対派の衝突を機に、公有地に建てられた南北戦争の南軍指導者の像などを撤去する動きが、全米各地で加速している。

人種差別や奴隷制度の象徴と見なされているためだが、トランプ大統領が撤去反対運動に理解を示すような発言をして、物議を醸している。

 12日の騒乱は、市内の公園に建つ南軍司令官リー将軍の像を撤去する計画に対し、白人至上主義者が抗議集会を呼び掛けたのが発端だった。集会反対派との乱闘騒ぎに加え、極右とみられる男が反対派のデモ隊に車で突っ込み、女性1人が死亡する惨事となった。

 米メディアによると、この騒乱を受けて、南部のケンタッキー州レキシントン、テネシー州メンフィスなどの市当局が南軍指導者や兵士の像撤去を進めると相次いで表明。フロリダ州ゲインズビルでは兵士像が撤去された。レキシントンのグレー市長は「奴隷制度を維持するために戦った人々をたたえ続けるのは、どう見ても正しいことではない」と説明した。

 ノースカロライナ州ダーラムでは14日、白人至上主義に反対する集会の参加者が、南軍兵士像を引き倒す騒ぎも発生。当局が器物損壊容疑で捜査を始めた。

 トランプ氏は15日、ニューヨークで記者団に対し、シャーロッツビルの騒乱に関して、批判されている中には「(暴力行為でなく)将軍像撤去への抗議が目的だった人も大勢いた」と主張。奴隷を所有していた建国初期の大統領を挙げ、「今週がリー将軍なら、来週はジョージ・ワシントンで、その次はトーマス・ジェファソンか」と撤去の動きに疑念を示した。白人至上主義者を擁護したとも受け取れる姿勢に、批判が相次いでいる。

 非営利団体「南部貧困法律センター」によると、南部を中心に南軍に関する像や碑など700体以上が公有地に建てられている。撤去を求める運動がある一方、「歴史を抹消すべきではない」と反対の声も根強い。