消費税10%への引き上げ焦点 「国難」の目玉、少子化にどう対応

安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、衆院選で北朝鮮問題と並ぶ「国難」と位置づけた少子化への対応加速が課題になる。安倍首相は平成31年10月に予定される消費税率8%から10%への増税を前提に、増収分の一部を子育て支援策に振り向ける方針を表明しており、最終的な引き上げ可否の判断も焦点だ。

 国会で急務となるのは、働き方改革関連法案の成立だ。法案は(1)残業時間の上限規制(2)正社員と非正規社員の賃金格差をなくす「同一労働同一賃金」(3)高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」創設−など。もともと9月28日に召集された臨時国会で成立を目指していた。

 長時間労働の是正による育児促進のほか、待遇改善で非正規労働者の経済的不安をなくし、子供を安心して産み育てられる環境を整備することが狙いの一つだ。育児中の女性などの労働参加を促し、少子化で減る労働力を補って、日本経済の成長力を底上げする意味合いもある。

 安倍政権は次の看板政策「人づくり革命」でも教育無償化などを柱とする2兆円規模の政策パッケージを年内に策定する。3〜5歳児の幼児教育や低所得世帯の大学教育を無償化し、高齢者に偏る社会保障制度を若者にも手厚い「全世代型」に変える。教育費の負担を減らし出産や育児への心理的な抵抗感を和らげる狙いなどがある。

 財源として見込む消費税の10%への増税に関し、首相は9月のテレビ番組で「リーマン・ショック級の事態が起こらない限り、基本的に引き上げていく」と強調。「大きな経済的な緊縮状況が起これば、判断しなければならない」とも述べた。政府や市場関係者の間では「増税延期に含みを残した」との見方もある。