「なぜ、上司は無能な人が多いのか?」会社員なら一度は感じる疑問に答えがあった

世の中には数学や物理などさまざまな法則が存在する。どれも歴史上の賢人や科学者たちが現代の我々に残してくれた“普遍的なルール”で、それは科学の分野にとどまらない。経済活動も人の行動も、世界はすべて“一定の法則”のもとに動いているのだ。

今回、職場や人事に役立つ法則を紹介。世界を支配する“ルール”を知れば、最小の努力で最大の成果が得られるはずだ。

◆管理職になった途端無能な上司になる

なぜ、上司は無能な人が多いのか――。会社員なら一度は感じるこの疑問だが、人事・戦略コンサルタントの松本利明氏によると、この現象は教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱した「ピーターの法則」で証明されるという。

「これは組織構成員の労働に関する社会学の法則で、会社組織に落とし込むと、人間は自分の能力の限界値を超えたところで出世は止まってしまう、というもの。現場では優秀だった社員が出世したものの、管理職になった途端に無能な上司に転じる現象は、この法則が証明しているんです。例えば、課長の地位で止まっている人は、『課長としての能力』を満たしていないから、部下からも無能と見なされる。もし、課長としての成果を発揮した人であれば、すでに次の段階に出世しているはずですから」

 結果、すべての組織は「そのポジションでの能力が足りない無能な人間」で埋め尽くされるため、“仕事ができない無能な上司”が多いように感じてしまうのだという。

 一方、部下は、設定した数値目標の達成具合で上司から評価される。その際、使われるのが、経営コンサルタントのブライアン・トレーシーが提唱した「SMARTの法則」。これは頭文字をとったもので、目標設定を行う際に使われる有名な手法だ。

「この法則により、人事評価のトレンドは変わりました。『頑張ります』といった曖昧な目標ではNG。数値目標など、評価基準がハッキリした目標が必要になったのです」(松本氏)

 ’90年代から日本でも広く普及したが、今ではやや時代遅れだと松本氏は続ける。

「営業マンが『営業件数を50件から100件に増やします』と目標設定しても、営業件数を増やしたからといって契約が増えるとは限りません。最終目標である契約に繋げるためには、本質的課題を探る必要がある。例えば、途中で契約をやめた人にアプローチして再契約に繋げたり、契約をやめた理由を具体的に探り、改善するなどの手法を取るべきです」

 今では時代遅れとなり、使えない法則となってしまった“SMARTの法則”。単なる数値目標の達成率ではなく、本質的課題を見つけ、それに対して具体的なアクションプランを設定できるかどうかが大事なのだ。

<SMARTの法則>

S…Specific(明確な目標)

M…Measurable(測定可能な目標)

A…Achievable(達成可能な目標)

R…Realistic(現実的な目標)

T…Time-oriented(明確な期限)