座間9遺体 周囲に自殺ほのめかす…容疑者、6月から
神奈川県座間市のアパート一室から9人の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕、送検された職業不詳の白石隆浩容疑者(27)。未成年の少女らを含む9人の殺害を認め「女性に乱暴したり、金を取ったりすることが目的だった」などと動機を説明する一方、6月ごろから周囲に自殺をほのめかしてもいた。約2カ月間という短期間に繰り返された凶行に、容疑者を知る人たちは驚きと恐怖を隠さない。捜査関係者の話などを総合すると、白石容疑者は8月下旬、実家から約2.5キロ離れた現場アパートに転居し、1人暮らしを始めた。その約2カ月前から精神的に不安定な様子がうかがえるようになり、周囲に「死にたい」「生きていても意味がない」などと語っていた。実際に飛び降り自殺をしようとしたこともあったという。
白石容疑者は最近、風俗店に女性を派遣する仕事で収入を得ていた。その仕事ぶりを知る人たちは「ツイッター」に容疑者の悪評を投稿していた。
日本一の歓楽街と言われ、飲食店や風俗店が建ち並ぶ東京・歌舞伎町(新宿区)。この街で白石容疑者を見かけると書き込んだ人は、容疑者の実名と顔写真を投稿し、「色々な人を裏切ってます」「裏でいろいろやってます」などと非難。今年1月から5月まで、同じ内容を繰り返し書き込んでいた。
捜査関係者によると、白石容疑者は歌舞伎町にある職業紹介会社に勤め、女性を風俗店などに派遣していた。今年2月には、売春をさせていると知りながら茨城県内の店に女性を紹介したとして、同県警に職業安定法違反容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。
この逮捕のいきさつを知るという女性は、今回の事件が発覚した後の10月31日にツイッターに投稿。女性は白石容疑者からスカウトされ、茨城県内の店に派遣されたといい、「人の個人情報とか話す悪徳スカウトだった」と指摘。一方で「死にたいっていってたら、そばにいてくれた」「今回で思い知った この業界は死と隣り合わせ」と、自分も被害に遭っていたかもしれないという恐怖心を書き込んでいる。
勤務先の職業紹介会社は今春ごろまで、歌舞伎町の雑居ビルに入居していた。このビルで働く女性は容疑者の姿を何度か目にしていた。「事務所の前でたばこを吸い、いつもスマホをいじっていた。会えばあいさつもするし、普通の人という印象」と振り返る。
白石容疑者は茨城県警に逮捕された当時、東京・池袋の繁華街に近い賃貸マンションに暮らしていた。深夜に近くのラーメン店に一人で立ち寄る姿も数回目撃されていた。
一方、幼少期や中学時代を過ごした座間市の実家周辺では「当時はおとなしく目立たない人だった」「こんな事件を起こすなんて信じられない」と驚く声が少なくない。幼稚園、小中学校ともに同級生だった会社員の男性(27)は「おとなしく、影の薄い生徒で、ほとんど記憶に残っていない」と話す。
小中学校で同級生だった息子を持つ女性(58)によると、白石容疑者は中学時代、野球部と陸上部に所属。卒業文集では、部活を通じて友だちができたことを喜ぶ記述があった。女性は「家に遊びに来たこともある。ニュースで写真を見たが、顔の印象が変わった」と話した。
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