切断頭部9遺体 27歳・白石容疑者 悪魔の所業

神奈川県座間市のアパートで、クーラーボックスなどに入れられた9人分の頭部が見つかった。捜査当局は死体遺棄容疑で、この部屋の住人・白石隆浩容疑者(27)を31日に逮捕、1日朝に送検した。同容疑者は少なくとも9人の殺害に関与したことを認めている。被害者のほとんどは「自殺サイト」の利用者で、白石容疑者は言葉巧みにおびき出し、金銭を奪い、女性には性的暴行を加え、殺害した疑いが持たれている。淡々と供述に応じる同容疑者のおぞましさ、異質さ…、人間の仮面をかぶった“悪魔”の素顔とは――。

 えたいの知れないモンスターを見ているようだ。善悪の区別がなく、世間の常識が全く通じない。「サイコパス」という説明では物足りない。神奈川県座間市のアパートで10月30日に発覚した“頭部9遺体事件”で、死体遺棄容疑で逮捕された白石容疑者のことだ。

 アパート内にはクーラーボックスとキャンプなどで使用する大型のRVボックスがあり、中から少なくとも女性8人、男性1人の計9人の遺体の一部を発見。遺体切断用とみられるノコギリも押収された。一部報道によると、この男性は女性被害者の交際相手で、容疑者宅を訪ねた際、殺害されたという。

 異様なのは、頭部とそれ以外で扱いが違うこと。頭部に外傷はほとんどなく、腐臭を防ぐために猫のトイレ用の砂がかけられていたのに対し、頭部から下の部位は肉がきれいにそぎ落とされ、クーラーボックスやRVボックスに足や腕などが無造作に入れられていた。臓器などはゴミと一緒に処分したという。

 頭部の1つは親族と連絡が取れなくなり、10月24日に警視庁高尾署に捜索願が出された東京都八王子市の女性(23)である可能性が高い。

 この女性は同23日、白石容疑者と現場アパート近くの小田急線相武台前駅の防犯カメラに一緒にいる姿が写っていた。
 2人の接点は「自殺サイト」。自殺願望があった女性は、たびたびサイトを通じ「パッと死んでパッといなくなりたい」などと投稿。これに反応したのが白石容疑者らだった。「ら」が付くのは、同容疑者以外に女性のツイートに返答したのは、確認できるだけで5人いるからだ。

 現場アパート近くでは「1週間前くらいに、黒い服装の3人の男が薄い空色の軽自動車から降りてきて、クーラーボックスのような箱を2つ、重そうに下ろしてアパートの中へ運んでいった。白石容疑者は先頭を歩き、真ん中を30代くらいの男性、一番後ろは白石容疑者と同年代くらいの男性が歩いていた」という目撃談もあり、単独犯ではない可能性も浮上している。
 逮捕後の白石容疑者は不可解だ。頭部に猫砂をかけるなど証拠隠滅を図っておきながら、当局の取り調べにはシラを切るどころか、淡々と応じている。

 死体遺棄どころか殺人容疑についても「首を絞めて殺した」と認め、動機については「金目当てだった」「女性の被害者には乱暴を働いた」と、あっさり供述。遺体の解体は風呂場で行い、全ての殺人はアパートに引っ越した8月22日以降に順次実行したという。

 ただし、当局は供述をうのみにしておらず、証拠と照らし合わせながら慎重に捜査している。一連の報道で「当局の見立てでは〜」という文句が多いのもそのためだ。

「アパートは家賃2万円以下で事故物件。住むというよりは、遺体を置くために借りたように見える。遺体を解体したのは風呂場かもしれないが、殺害したのは別の場所ということも考えられる」とは関係者。

 さらに恐るべきは、逮捕当日の30日にも“獲物”を物色していたことだ。同容疑者が逮捕されたのは、被害女性とは別の女性Xさんの協力があったからだ。

 捜査関係者は「妹と連絡が取れなくなったお兄さんが、白石容疑者についての情報提供を募ったところ、心当たりのあるXさんが手を挙げた。彼女もまた同容疑者からアプローチをかけられていたため、警察は彼女にひと芝居打ってもらい、白石容疑者と接触させた。尾行したところ例のアパートにたどり着いたため、確保となった」。

 アパートから発見されたクーラーボックスは3つ、RVボックスは5つ。うちクーラーボックス3つとRVボックス4つに遺体が入っていた。つまり残る1つのRVボックスはカラ…。逮捕が遅れていたら別の被害者が入っていたかもしれない。
 捜査関係者は「自殺サイトにアクセスしているのは大半がメンタルの弱い子。そうした子を言葉巧みにおびき出し、陵辱して金を奪い、最後は用済みとばかりに殺害する。そうした鬼畜集団がいるのは事実。彼らにとって自殺サイトは出会い系サイトみたいなもの。いいカモがいれば、情報を共有し、融通し合う。クーラーボックスを一緒に運んだメンバーがまさにそれだろう」と話す。

 身元不明の残る8人は誰なのか。真相解明が急がれる――。
白石隆浩 座間9遺体 殺人事件