爆発的に売れたiPhone X、ライバルと比べた優位性とは?

●iPhone Xの売れ行き

11月3日に発売された「iPhone X」は、アップル表参道店に550人が並ぶなど発売初日から大いに盛り上がりを見せた。

これまで筆者はGalaxy Note8やMate 10 ProをiPhone Xと比較してきたが、果たしてiPhone Xはライバルにどうやって差をつけたのだろうか。

○蓋を開けてみれば爆発的に売れたiPhone X

当初、iPhone Xは生産台数が極端に少ないとみられ、ホームボタンや指紋センサーを廃止したデザインは時代を先取りしすぎた感があったことから、「Xを見てから8を買う人が多いのではないか」と予想されていた。

だが、蓋を開けてみるとiPhone Xの売れ行きは爆発的だった。ソフトバンクは11月6日の決算会見では、代表の孫正義氏が「一瞬で売り切れた。もっとたくさん供給してほしい」と訴え、社長の宮内謙氏も「iPhone 8の倍くらいの勢いで、供給が追いついていない状況」と嬉しい悲鳴を上げた。

海外での状況はどうだろうか。台湾の調査会社TrendForceが発表したレポートでは、2017年第4四半期にアップルはサムスンを抜いて出荷台数シェアで1位になり、iPhoneシリーズの予想生産台数は8100万台で、うち33%をiPhone Xが占めると予測している。

スマホ市場で1位を守ってきたサムスン、3位のファーウェイともに勢いは衰えていないが、人気の中心は低価格端末が占めており高価格帯ではiPhone Xの圧倒的な強さが際立っている。

それもそのはず、iPhone Xの質感は圧倒的だ。特にシルバーモデルの磨き上げられたステンレスは高級感があり、作り込みも細部まで隙がない。Apple Watchのステンレスモデルと合わせたくなるデザインだ。

これまで日本で人気だったのは標準の4.7インチモデルだが、iPhone Xはそれよりわずかに大きい程度のサイズに、鮮やかな有機ELディスプレイやデュアルカメラを詰め込んだ。小型で高性能という点は日本人好みでもある。

ホームボタンがなくなったことは賛否両論あるものの、本体下部のスワイプ操作でうまく解決している。滑らかで快適な操作感はそのままに、画面を本体いっぱいまで広げてきた。本体価格の高さだけは悩みどころだが、マニアだけでなく、新しもの好きな人全般にすすめられる仕上がりだ。

●Face IDの精度

○Face IDに他社は追いつけるか

一方で、スマートフォンとしての性能や本体デザインの面では、サムスンやファーウェイのフラグシップ製品もiPhone Xに匹敵する存在だ。それに対し、iPhone Xの新機能の中で他社の追随を許さないのが顔認証の「Face ID」だ。

実は、顔認証自体は目新しい技術ではない。最近のサムスンのGalaxyシリーズや、一部のWindows 10搭載PCでも実現している。だがFace IDは認証速度が速く、画面に目を向けたときにはもう認証が終わっているほどだ。これに慣れてしまうと、従来の指紋認証には戻れないと感じるはずだ。

Face IDの精度は基本的には高く、誤認識は100万人に1人とされるものの、双子を見分けられない場合があるなど改善の余地はある。だがその使用感は、他社より1世代は先行していると言っても過言ではない。

スマホの生体認証は、画面ロックの解除はもちろん、Apple Payを始めとするモバイル決済においても重要な技術だ。かつて指紋認証ではiPhone 5sへのTouch IDの搭載で先行したアップルだが、今度は顔認証でも、Face IDによって他社を大きく引き離す技術革新を成し遂げている。