トヨタ「JPNタクシー」デビュー1か月、その評判は? 「これタクシー!?」の声も

トヨタの次世代タクシー車両「JPNタクシー」がデビューし、1か月が経ちました。その車内の広さに「これタクシー!?」の声も。車体色は、メーカーは「深藍」を推奨していますが、地方ではカラフルなものも登場しています。

まず驚くのは「広さ」 乗務員からも好評

トヨタの次世代タクシー車両「JPNタクシー(ジャパンタクシー)」が2017年10月23日(月)にデビューし、1か月余りが経過しました。東京の街でも徐々に見かける機会が増えたほか、地方でも導入が進んでいるようです。TAXI201712060001
日本交通の「JPNタクシー」。車体色は標準設定色のひとつ「深藍」(画像:日本交通)

トヨタ「JPNタクシー」デビュー

実際の利用者からはどのような評判なのでしょうか。都内大手の日本交通(東京都千代田区)に聞きました。

――「JPNタクシー」の利用者からは、どのような感想がありますでしょうか?

 まず「広い」「天井が高い」といった声が聞かれます。乗降を補助する手すりや、天井からつり革のように垂れさがるアシストグリップもちょうどよい位置にあって乗り降りしやすく、お客様ご自身で操作できる座面と背面のヒーターやエアコンの吹き出し口、手元を照らす読書灯も好評です。従来のイメージを覆すのか、良い意味で「タクシーじゃないよねこれ」とおっしゃる方もいます。

――車いすもそのまま載せられるなどの特徴がありますが、そのような人へ優先的に配車しているようなことはあるのでしょうか?

 現在は台数が少ないため、予約時の車種指定は受け付けているものの、確約はできないという条件です。やはり、「流し」の車両にお乗りいただく機会が多いでしょう。

――今後どう増備していきますでしょうか?

 当社グループでは現在130台ほどで、今後も増備していきます。東京では、2020年までにタクシーの3台に1台、つまり1万台ほどが「JPNタクシー」になるといわれています。

地方での評判はどうでしょうか。岡山県で「JPNタクシー」を最初に導入したうちの1社である岡山交通(岡山市)も、「お客様からは『広い』『乗り降りしやすい』といった声があるほか、窓や足元の空間も広く、乗務員も運転しやすいと話しています」といいます。トヨタの従来型タクシー車両である「コンフォート」と「JPNタクシー」を比較すると、たとえば室内高では1225mmから1370mmと、14.5cm程度アップしています。その広さは利用者だけでなく、乗務員からも好評のようです。

東京23区では「深藍」 地方ではバリエーションも?

「JPNタクシー」は、標準色として深藍(こいあい)、黒、白の3色が設定されています。おもに東京23区で「JPNタクシー」を販売する東京トヨペット(東京都港区)によると、「東京ハイヤー・タクシー協会さんが車体色の統一を呼び掛けていることもあって、東京23区エリアではおよそ9割に深藍が採用されています。ただ、多摩地区では黒のほうが多いほか、地方ではほかの色も見られるようです」と話します。
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黄色い車体色を採用した岡山交通の「JPNタクシー」(画像:岡山交通)

トヨタ「JPNタクシー」デビュー

たとえば、岡山交通は標準にない黄色の車体色を採用しています。「当社含む両備グループ(編集部注:主に岡山県で交通事業を展開する企業グループ)のタクシー会社で2台の『JPNタクシー』を導入(2017年12月初旬現在)していますが、いずれもグル―プにおける小型タクシーのカラーである黄色に統一しています」とのこと。

 岡山交通へ「JPNタクシー」を販売した岡山トヨペット(岡山市)によると、「メーカーとしては深藍で統一したいという思いはありますが、両備グループさんのように、車体色にこだわりをお持ちで黄色を納車した例もあるほか、標準色ではどちらかというと黒が多いです。もちろん深藍や白を導入するところもあり、たとえば白で走っていたところが急に黒になると、お客様の印象も大きく変わることから、おおむねそれまでの車体色に準じた色が選ばれています」と話します。東京23区ではほぼ深藍ですが、それ以外の地域では深藍以外の色も多く見られるという状況のようです。

 売り上げの面ではどうでしょうか。おもに東京23区を販売エリアとする東京トヨペットでは、12月5日(火)までの段階で約370台(登録台数。以下同)だそうです。一方、岡山トヨペットによると、岡山県内では12月初旬の段階で10台ほどだといいます。

 岡山交通は「価格が高いので少しずつではありますが、2018年も(『JPNタクシー』を)計画的に増備していく予定です」としています。従来型の「コンフォート」は、最上級グレードの「SG」でもおよそ233万円でしたが、「JPNタクシー」は標準グレードの「和」でおよそ328万円、上級グレードの「匠」でおよそ350万円。この価格差もあり、すぐに増備できるわけではないようです。

 このことから、岡山トヨペットによると「『コンフォート』の在庫分も並行して売れています」とのこと。「いま更新すべき車両を『コンフォート』でまかない、その在庫がなくなってから『JPNタクシー』を導入することを検討している会社もあります。『JPNタクシー』が本格的に売れ出すのは、『コンフォート』の在庫がなくなってからかもしれません」と話します。

 東京では2020年までにタクシーの3台に1台になるという「JPNタクシー」、全国で本格的に台数が増えるのは、これからといえるでしょう。