エイチ・アイ・エス社長 来年3月から長期の一人旅へ 上場企業トップ 極めて異例

上場企業のトップ 極めて異例

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)会長兼社長で、長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス(HTB)」社長も務める沢田秀雄氏(66)が来年3月から、たった1人で3カ月から半年間の世界旅行に出る。主に視察目的だが、秘書などは同行しない予定。上場企業のトップが長期間にわたって一人旅をするのは極めて異例だ。

「原点回帰の旅」バックパッカーの学生時代

沢田氏はHIS創業者で、格安旅行の先駆者として知られる。2010年からHTBの再建にも取り組んでおり、16年11月にはHISの社長に復帰。ネット専売旅行業者に押されている旅行部門の立て直しに注力する考えを示していた。

 一人旅の理由について、沢田氏は西日本新聞の取材に対し「最近は自分の発想が豊かでなくなった。世界の変化から刺激を受けたい」と説明。学生時代にもバックパッカーとして1人で50カ国以上を巡ったことがあるといい、今回も連絡はできるだけ取らない「原点回帰の旅」としている。

 日程は詳細に詰めず、中近東やアフリカを含めた全世界を旅行する考え。すでに3月以降は業務の予定を入れていないという。

「人が育つ」「死ぬときは死ぬ」

企業トップの長期不在について、ある大手電機メーカー会長は「自分ではとても考えられない。企業統治の上で問題はないのか」と驚く。沢田氏は「私が長い間いなければ、これまで私の指示待ちだった部下が自分で考えて決めるようになり、人が育つ」と強調。一人旅の危険性についても「人間死ぬときは死ぬ」と意に介していない。