トヨタ専務「日米でセダン復権めざす」、新型カムリ国内発売

トヨタ自動車<7203.T>は10日、約6年ぶりに全面改良した主力セダン「カムリ」を国内で発売した。日米など主力市場でセダンはスポーツ用多目的車(SUV)に需要を奪われている。吉田守孝専務役員は「セダンは正直、成長市場とは言えない」のが現状だが、今回の新型カムリで「セダンの復権を目指す」と強調した。

トヨタの新しい設計思想「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に基づき、プラットフォーム(車台)やパワートレインなどをすべて一新した。国内では、直列4気筒2.5リッターのエンジンをベースにしたハイブリッド車タイプのみで、価格は329万4000円から。月2400台の販売を目指す。燃費は1リットル当たり33.4キロ。これまでのトヨタカローラ店に加え、トヨペット店、ネッツ店の3チャネル約4000店舗での併売とした。

衝突回避支援パッケージ「セーフティ・センスP」を全車に標準装備。また、後退時の死角に左右後方から接近して来る車両を検知して自動的にブレーキを制御する「リヤクロストラフィックオートブレーキ」機能をトヨタブランドとして初採用した。吉田専務は「セダンの人気が高かった80年代に車を楽しんできた世代や若い人にも受け入れられる」と述べた。

米国では今夏後半に発売する予定で、ハイブリッド車のほか、直列4気筒2.5リッター、V型6気筒3.5リッターのガソリンエンジン車も用意する。開発責任者の勝又正人氏は、カムリはなくてはならない安心の車という意味から「北米を中心に『食パン』といわれてきた。ただ、良い車だが、ワクワクドキドキしない。このままではいけない」との思いから開発したといい、現行カムリと同水準の「月3万台超え」の販売を狙う、と語った。

カムリは1980年に国内専用モデル「セリカ カムリ」として誕生し、82年には現在の車名「カムリ」として一新し世界販売を始めた。米国では乗用車市場で15年連続1位を獲得する主力車種。現在は100以上の国・地域で販売され、昨年末までに累計1800万台超を売り上げている。