ヒアリの女王アリ発見で、フマキラーの株価が28年ぶり高値

環境省が猛毒を持つアリ「ヒアリ」の女王アリとみられる死骸を国内で初めて発見したと発表した7月4日、株式市場ではある企業の株価が急騰した。殺虫剤や園芸用品の開発・販売を手掛けるフマキラー(東証2部)だ。

同社株価は、環境省の発表が広く伝わった午後0時半ごろから急騰。午後1時32分には前日比145円高(+15.1%)の1104円を付け、年初来高値を更新した。同社の株価が1100円台を付けるのは1989年以来。

 株価はその後やや落ち着いたが、終値は前日比65円高(+6.8%)の1024円と高値を維持した。

 フマキラーは、5月下旬〜6月中旬にかけて、兵庫県内でヒアリが国内初確認された際、環境省と神戸市に「アルゼンチンアリ 巣ごと退治液剤(1.8リットル)」「カダン アリ全滅 シャワー液(2リットル)」などのアリ用殺虫剤を無償で提供。駆除作業に協力している。

 ヒアリは通常のアリ用殺虫剤で駆除できるため、女王アリの発見によって繁殖の可能性が高まったことにより、殺虫剤需要の高まりに期待が集まったとみられる。

 フマキラーのほか、害虫駆除関連の事業を手掛ける企業では、農薬製造のエス・ディー・エス バイオテック(東証2部)、シロアリ防除を手掛けるサニックス(東証1部)なども好調で、年初来高値を更新した。

 殺虫剤最大手で、シェアの高い「アリの巣コロリ」を展開しているものの、地方自治体などに殺虫剤の提供を行っていないアース製薬(東証1部)は前日比60円安(−1.0%)の5730円と出遅れた。