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ユニクロvs.ZOZOTOWN 柳井社長が一番嫌いな言葉

ユニクロvs.ZOZOTOWN 柳井社長が一番嫌いな言葉

週刊文春に横田増生のユニクロ潜入記が掲載されたのは、1年前の12月1日発売号でのこと。2011年に著した『ユニクロ帝国の光と影』に対してユニクロが訴訟を起こし(結果は出版社側の勝訴)、その後に柳井社長がユニクロを批判する人には「どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」と発言したこともあって、アルバイトとしてユニクロに入り込んだのであった。
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横田さんがZOZOTOWNについて記事を書いている!

バレないよう名字を変えてまでの潜入取材に、そこまでするのか! と話題になり、敬意なのか何なのか「横田さん」とさん付けで呼ばれがちとなる。このルポは10回続き、先月、それをまとめた単行本『ユニクロ潜入一年』が刊行されている。

今週の文春には、その横田さんによる「ZOZOSUITで追い込まれるユニクロの未来」が掲載。ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが、プライベートブランド「ZOZO」の立ち上げに続いて、「ZOZOSUIT」を発表したのだ。

これのどこがユニクロを追い込むのか。今週号の記事と、この裏にある『ユニクロ潜入一年』から解き明かしていく。

ZOZOSUITは、着るだけで《身体の寸法を瞬時に採寸することのできる伸縮センサー内蔵の採寸ボディースーツ》(注)で、これにより試着が不要となるため、客は通販でも安心して購入ができるようになる。しかもこのスーツは無料で配布される。
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ZOZOTOWN HPより
横田さんによれば、ユニクロも採寸に注力しており、潜入中の2016年にセミオーダーのメンズスーツを発売するが、採寸に失敗して返品となる事故が発生するなど、事業としてはうまくいっていないという。

柳井社長が一番嫌いな言葉

またZOZOSUITの登場によって、「これまで柳井社長の号令一下、人海戦術で数々難題をクリアしてきたユニクロ」といえども、採寸による顧客データを先に他社に押さえられてしまうため、店舗での売上に影響しかねないと指摘する。

ここで「人海戦術で数々難題をクリアしてきたユニクロ」と述べているのは、一見、組織力を評価しているかのようにも思えるが、実は横田さんは嫌味をいっているのである。

なぜなら柳井社長が一番嫌いな言葉が「人海戦術」だからだ。
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柳井正社長 c共同通信社
『ユニクロ潜入一年』にはこうある。「柳井社長が好きな言葉に〈少数精鋭〉というのがある。できるだけ少ない労働者で、店舗の運営を効率よく回し利益を上げていくことを意味している。嫌いな言葉は、〈人海戦術〉。多くの人件費が発生しながらも、仕事がはかどらない状態を指す」と。

なお『ユニクロ潜入一年』によれば、少数精鋭とは裏腹の店舗で“人海戦術”の一員となった横田さんは、バイトをはじめて最初の2、3ヶ月で10キロも体重が落ちるのであった。

潜入者・横田さんならではの「懐疑」

2015年の本決算発表の場で柳井社長は、「今後はEコマース事業を大幅に拡大していく」と述べる。またその具体化として、顧客情報の蓄積と、それによるリアル店舗とネット通販の融合で売上の最大化を狙う「有明プロジェクト」が発表される。

これについて横田さんは、潜入先の幕張新都心店で店長から説明を受けている。店長はホワイトボードに「ゲームのルールが変わる」「ルールを我々が作る → 一人勝ち」「『未来を予測する最善の方法は、未来を作ることだ』byドラッカー」などと書き、将来、店舗がなくなるかもしれない不安もあるが、ユニクロが取り組まなければならないプロジェクトなのだと語る。時給のバイト相手に、ドラッカーの金言を披露するのは、「全員経営」を謳うユニクロならではなのかもしれない。
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ZOZOTOWN 前澤友作社長 c山元茂樹/文藝春秋
それほどネット通販への転換を図ろうとするユニクロだが、横田さんは懐疑的だ。ネット通販においては、2004年に立ち上がったZOZOTOWNにくらべ「周回遅れの感は否めない」と。そこにきて、ZOZOSUITである。この、人によらない採寸での顧客情報の蓄積により、それこそ未来が作られようとしている。

柳井社長の「どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」を横田さんは潜入の“招待状”として受け取ったが、今回の記事は取材拒否が続く柳井社長への質問状のようにもとれる。

ユニクロを脅かすアマゾンの"超個客主義"

ユニクロを脅かすアマゾンの"超個客主義"

amazon201711180002アマゾンはこれまで大量の購買情報を蓄積してきました。そして人工知能(AI)の進歩により、そのデータを使った商品開発の環境が整いつつあります。「私の好み」を把握するアマゾンは、どの分野から手を広げるのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「ユニクロのようなカジュアル・ファッションに参入するはずだ」と分析します――。(第2回、全3回)

※以下は、田中道昭『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)の第3章「アマゾンの収益源はもはや『小売り』ではない」を再編集したものです。

■全商品が「低価格」ではない理由

AIの登場によって、アマゾンはこれまで蓄積してきたビッグデータの出口を見つけた、と見ることができます。「天の時」が到来し、ようやくビッグデータをユーザー・エクスペリエンスの向上につなげられる時代になったのです。

また「ビッグデータ×AI」は、アマゾンの売上増を直接的にプッシュするものでもあります。アマゾン本体の売上方程式を整理してみると、やはり売上向上のためにビッグデータが活用されていることがわかります。

売上を因数分解すると、「客数×客単価」です。これをさらに分解すると、客数は一般顧客とプライム会員に分けることができます。また、セット率を高める、購買頻度を高めるというのが、客単価を上げるための代表的な施策です。

アマゾンの価格はダイナミックプライシングが特徴です。全商品が低価格というわけではなく、「ビッグデータ×AI」を使いこなし、検索上位の商品や人気商品を中心に低価格にしています。競合と比べれば安価かもしれませんが、ロングテールやあまり数が出ない商品は価格を大きく下げずに、きちんとマージンを取っています。

■新サービスのターゲットは低所得者層

さて、セット率(購買点数)を高める、購買頻度を高める、プライム会員を増やすという点に関しては、プライム会員の増加が直接的に寄与します。また、「ビッグデータ×AI」によりリコメンデーション機能が洗練していくほどに、セット率が高まります。あるいはホールフーズの買収によって生鮮食料品の取り扱いが本格化すれば、やはり購買頻度が高まる方向に進むでしょう。

そして一般の顧客を増やすため、最近アマゾン・キャッシュというサービスが始まっています。アマゾン・キャッシュは米国で最近始まったサービスで、銀行口座やクレジットカードを持っていなくてもネットで買い物ができる、というもの。これまでネット通販を利用してこなかった低所得者層がターゲットだとされています。

こうして見ていくと、「客数×客単価」によって売上を伸ばすというプロセスの至るところに「ビッグデータ×AI」が活用されていることがわかります。

従来のマーケティングにおいては、属性のデータは比較的収集しやすいものであり、一方で、消費者の行動パターンと、心理パターンは、わざわざアンケートを行わなければ集められないものとされてきました。マーケティング上の有用性としては行動パターンや心理パターンのほうが高いのに、獲得するのが難しいというジレンマがあったのです。

ところが、アマゾンはここにもイノベーションをもたらしました。アマゾンが蓄積しているビッグデータは行動パターン、心理パターン、属性まですべてを含んでいます。その結果、アマゾンは通常のセグメンテーションよりもはるかに細密な「1人のセグメンテーション」「0.1人のセグメンテーション」を可能にし、売上向上につなげています。

■なぜアマゾンは顧客の好みを知っているのか

ビッグデータを売上増につなげるとき、ひとつの強力なエンジンとなるのが、リコメンデーション機能です。アマゾンのリコメンデーションのアルゴリズムは「協調フィルタリング」といいます。ユーザーごとの購入予測モデルといってもいいでしょう。

一般的にはまだ知られていない言葉かもしれませんが、アマゾンで買い物をしている人であれば、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示に馴染みがあるはず。あれが協調フィルタリングによるリコメンデーションです。アマゾンの売上を押し上げているひとつの要因でもありますので、解説しておきましょう。

リコメンデーションのアルゴリズムとして協調フィルタリングと呼ばれているものは、マーケティングにおけるセグメンテーションであり、統計では分類と呼ばれているものです。似たもの同士を集めてグルーピングし、それを分類したり、セグメントに分けていくのがその本質なのです。

アマゾンで使われている協調フィルタリングには、顧客に着目した分類やセグメンテーションであるユーザーベースの協調フィルタリングと、商品に着目した分類やセグメンテーションである商品ベースの協調フィルタリングの2つがあると考えられます。

■おすすめの精度が爆発的に高まっている

ポイントは、あるユーザーが商品をチェックまたは購入したデータと、また別のユーザーがチェックまたは購入したデータの両方を用いていることです。その購入パターンから、ユーザー同士の類似性や商品どうしの共起性を解析、ユーザー同士の購買履歴を関連づけることで、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というリコメンドにつなげるのです。

実際には、さらにそれぞれのユーザーのさまざまな行動ログや各種の検索履歴などもビッグデータとして活用されて、解析とリコメンデーションがなされています。これが高度になったものが、本書でも何度か言及している「0.1人セグメンテーション」なのです。

ここで前提になっているのは、「自分と似ているユーザーの評価と自分の評価は似ているだろう」という仮説です。その仮説から「自分は持っていないが、自分に似ている人が持っている商品はほしがるに違いない」という、さらなる仮説を導いています。

あえてシンプルに述べると、アマゾンにおけるリコメンデーションは、多くのユーザーのなかから自分に似ているユーザーを探し出し、彼らが持っていながら自分は持っていないアイテムをお勧めする、というのが基本です。

ユーザーにしてみれば、それまで知らなかった、意外性のあるアイテムがお勧めされることになり、そのためコンバージョンレートのアップも期待できる、というわけです。アマゾンが驚異的であるのは、ビッグデータとしての行動履歴の範囲とボリューム、リコメンデーションする商品・サービス・コンテンツの範囲とボリューム、そしてリコメンデーションの精度が、爆発的に伸びていることなのです。

アマゾンのビッグデータ分析は今後も「個の分析」の完成度を高めていき、やがては大量生産とパーソナライゼーションを組み合わせることで、マスカスタマイゼーションに着手することになるだろう――これが私の未来予測です。

■アマゾンがユニクロの脅威になる

ここまでを踏まえて考えずにはいられないのは、「アマゾンがユニクロの脅威になる」という未来です。アマゾンはすでにプライベートブランドとして7つのファッションブランドを展開しています。そのうえで同社がプライベートブランドでファッションに乗り出すとすれば、最適な分野はユニクロが得意とするベーシック・カジュアルだといえます。アマゾンで高価なブランドを買うことに抵抗感をもつ人はいると思いますが、ベーシック・カジュアルであればブランドごとの違いも小さく、アマゾンも入り込みやすいのです。

顧客ネットワークを持ち、顧客のビッグデータを持ち、それをAIで活用できるアマゾンが自ら開発・製造・販売まで行なうアパレル業界の脅威・SPA企業となる――。

そしてその先では、おそらく「マスカスタマイゼーション」の時代が本格的に始まることになるのでしょう。つまり「ビッグデータ×AI」によって導き出した1対1のセグメンテーションを背景に、一人ひとりにあわせて製品をつくる。それを始めるとすればファッションから、というのが私の予測です。

そもそもアパレル・ファッションは、アマゾンの武器である「ビッグデータ×AI」を活かしやすい分野でもあります。消費者の志向を把握し、最適な商品を勧められるからです。アマゾン・エコーに続くスピーカー型人工知能の新機種「エコー・ショー」や、カメラ付きアレクサデバイス「エコー・ルック」との相性も抜群です。エコー・ショーは、タッチスクリーンつきで画像の表示や動画の再生が可能。エコー・ルックには顧客が撮影した画像からAIがファッション指南してくれるという機能が付いています。当然ながら、ここからもビッグデータを取得しており、今後の商品ラインナップに反映されていくことになります。

■「メーカーとしてのアマゾン」という新たな顔

冒頭で「アマゾンのビッグデータ分析は個人を特定することを目的としていない」と述べましたが、個人を特定する意図はなくとも、顧客一人ひとりの購買を増やすため、そして顧客第一主義を貫徹するため、言い換えればユーザー・エクスペリエンスのさらなる向上のために、個の分析は不可欠です。将来的にはマスカスタマイゼーション、すなわち顧客一人ひとりにカスタマイズされた商品を企画、製造、販売するところまでを担うようになるはずです。

ECの王者アマゾンが、ネット上のエブリシング・カンパニーを経て、リアル店舗展開から小売り・流通の王者というポジションを狙うばかりでなく、メーカーとしてのアマゾンという新たな顔を持つ。そんな未来がすぐそこまでやってきています。

2017年5月に米国インターネット協会で行われた対談において、ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)はアマゾンのAI戦略についても触れています。本書の問題意識でもある「アマゾンはなんの会社なのか」「アマゾンは10年後どうなっているのか」「そこでAIはどのような影響を持つか」といった問いにもベゾス自身が答えている貴重な資料となっています。

「アマゾンはなんの会社なのか」という問いには、「最近ではクラウドコンピューティングや動画配信のための番組制作まで行っているが、アマゾンにおいては事業に対するアプローチが統一されており、そのアプローチにこだわった事業展開をしているのがアマゾン」だと答えています。

■常にパイオニアとして新たな商品を提供する

ここでいうアプローチとは顧客第一主義、イノベーション、超長期主義のことであり、第1章でも触れたアマゾンのバリューに対応しています。企業によっては、競合主義、ビジネスモデル主義、テクノロジー主義、商品主義などさまざまな主義を掲げるところですが、アマゾンを特徴づけているのは、やはり顧客第一主義であると強調しているのです。

一方で、ベゾスはこうも話しています。

「顧客に対してはただ単に顧客の声に耳を傾けていればいいということではなく、顧客は常によりよいものを求めており、そのためにもアマゾンが顧客に代わって常にパイオニアとして新たな商品・サービスを提供することが重要である」

これはイノベーションを追求する姿勢を改めて示したものだといえます。超長期主義については、「2〜3年でも5〜7年でもなく、さらに長期の視点で事業を考えることである」と述べています。たとえば今四半期の決算結果は3年前からすでに予測されたものであり、CEOとしての自分はすでに3年後である2020年の当該四半期の結果を注視していると語っています。真偽のほどはわかりませんが、超長期主義についての徹底ぶりは十分にうかがい知ることができます。

「ユニクロ潜入一年」ジャーナリスト横田増生さんに聞く 柳井社長は「全能の神」、いまだにサビ残も

「ユニクロ潜入一年」ジャーナリスト横田増生さんに聞く 柳井社長は「全能の神」、いまだにサビ残も

yunikuro201710270002ブラック企業と批判されながらも、日本を代表するグローバル企業としての地歩を固めつつあるユニクロ。同社の実態を抉り出そうと、1年間に渡る潜入取材を試みたのがジャーナリストの横田増生さんだ。本日10月27日、潜入取材や海外での調査をまとめた『ユニクロ潜入一年』を文藝春秋から発売した。

横田さんが、アルバイトとして働きながら調査しようと決断したのは、同社から取材拒否にあい、決算会見への出席すら阻まれていたからだ。加えて、柳井正社長自身が語った「(ブラック企業だと批判する人は)うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」という「招待」も契機になった。

今回、アルバイトとして店舗に潜入するために、妻と一度離婚してから再婚し、名字を変えることまでしたという。1年に渡る潜入取材で明らかになった、同社の実態の一端を聞いた。

労働時間の上限は月220時間、超過しても「219時間50分」などと過少報告

―潜入取材の間、どの店舗でどのような仕事をしていたのですか。

2015年10月からイオンモール幕張新都心店で8か月、その後ららぽーと豊洲店で2か月働きました。2016年10月からはビックロ新宿東口店で働いていたのですが、12月に「ユニクロ潜入一年」の記事が週刊文春に掲載され、素性がバレて解雇されました。店舗では、品出し、レジ打ち、フロアでの接客などごく普通のアルバイトとして働いていました。

―横田さんは2011年に『ユニクロ帝国の光と影』を発表されています。同書では、店長が残業代を支払われないままに月300時間以上も働いていることなどが暴かれていました。その当時と比べて、働き方は改善されたのでしょうか?

まず、店長に残業代が支払われるようになりました。そして労働時間の上限も、以前は月240時間だったのが、月220時間まで減らされています。

―ただ、以前も月240時間という労働時間の上限があったにも関わらず、実際には300時間以上働いている人がいましたよね。上限時間の設定が下がったとはいえ、本当に労働時間が減ったのでしょうか。

店長の労働時間が減ったのは確かだと思います。地域限定正社員といったスタッフに、店長の業務と責任が分散されるようになったからです。

ただ、今でも月220時間という上限を超えてサービス残業をしている人はいます。それは私が目視で確認しました。例えば、ある女性は、ユニクロの店舗で退勤処理をして、さらにテナントビルのゲートで退勤処理をした後に、一般のお客さんが使う入り口から入ってきて働くということをしていました。こうしたサービス残業は今でも行われています。

―サービス残業の実態を柳井社長は把握していないのでしょうか?

恐らく認識していないでしょうね。柳井さんのところには、例えば「219時間50分」のように220時間に収まるように調整された数字しか上がっていないと思います。しかし「サービス残業は本当にないのか?」と疑わなければ経営者として失格です。そもそも「月220時間を超えないように働け」ではなく、「220時間を超えたら報告しろ」と言わなければならないのではないでしょうか?

電通事件では、石井直社長が引責辞任していますし、新しく社長になった山本博氏は東京簡易裁判所に出廷し、有罪判決を受けています。会社における労働問題は、現場の監督者や人事部だけでなく、社長や経営者も責任を問われるようになっているんです。

出世しているのは「ユニクロ教」の信者ばかり、柳井社長は「全能の神」状態

―「今の業務量や社員の数では、月220時間に収められない」と声を上げる人はいないのですか?

そんなこと言えませんよ。もし上限を超えて働いていたら、「無能」というレッテルを貼られたり、降格させられたりするだけだと思います。

―現場の実態や不満が上層部に伝わらないとなるとあまり風通しの良い社風ではなさそうですね。

柳井さんは「全能の神」で、柳井さんの言うことは「神のお告げ」です。ユニクロでは柳井さんの決定が全てなんです。

スーパーバイザークラス以上になると、ユニクロ教にはまっている人ばかりですよ。「柳井さんの言っていることは全て正しい」と思っていないとやっていけないでしょう。トップの言うことに疑問を持たないという意味では、カルトに近いかもしれませんね。

でもユニクロの中で、儲かっているのは柳井さんだけなんですよ。柳井さんの年収は2億円で、株式の配当は年間100億円です。一方、店長の年収は500万円ほどでしょう。(※)退職金もありません。時間を詰めて身を削って働いても、柳井さんの財産が積み上がるだけなんです。

中国の工場における違法な罰金、カンボジアでは現場監督によるパワハラも

―国内の店舗における長時間労働だけでなく、海外の下請け工場における労働問題についても取り上げてますね。前著でも、中国の委託工場で17歳と18歳の女性が午前8時〜深夜3時まで働かされていたと暴露しています。

本書では、中国の工場に潜入取材を敢行した、香港の人権NGO「SACOM(サコム)」に取材しています。サコムは、調査員を工場に送り込み、違法な長時間残業や作業のミスに対する違法は罰金制度を告発しているんです。

カンボジアでも、工場で働く人々から話を聞くことが出来ました。ノルマをこなせずに職場で倒れたり、中国人の現場監督からパワハラを受けたりと劣悪な環境で働かされています。とある労働者は、4畳半ほどのスペースをビニールで囲った掘立小屋のようなところに家族5人で暮らしており、かなり厳しい生活を強いられていることがわかります。

―ナイキやアディダスといった欧米企業は、下請け企業のコンプライアンスにも注意を払っているようですね。またH&MやGAPはユニクロに先駆けてサプライヤーリスト(工場の一覧)を公開していました。欧米企業とユニクロの違いはどのようにして生まれているのでしょうか。

例えば、ナイキは1990年代に東南アジアの工場での児童労働や低賃金労働が発覚し、批判や不買運動に晒されました。そのため工場の劣悪な環境がブランドイメージに傷を付けるという認識を持っているんです。しかしユニクロは、ちょっと意識が違います。自分たちは発注しているだけだから関係がないと考えているんです。

―欧米企業といえども、批判されるまでは同じようなことをしていたわけですね。そうすると社会の目が必要になってくるのでしょうか。

ただ、日本では海外の労働問題にあまり注目が集まらないのです。深センの工場でストライキがあったとき、米ニューヨーク・タイムズや米CNNでは報道されましたが、日本ではあまり大きく取り上げられませんでした。日本では、発展途上国の労働環境に対する意識が薄いのだと思います。ユニクロの商品を使う時には、どこでどのような人によって作られたのか想像力を働かせてみてほしいと思います。

(※)同社の公式サイトに掲載された年収テーブルによると、店長クラス(S-2からS-5)では平均年収が約630〜840万円となっている。しかし横田さんによると、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリンググループ全体の平均年収は600〜700万円。ここには本社勤務の社員も含まれていることから、店長の年収はもっと低く、年収テーブルに記載された最低年収の方に近いのではないかと推測している。

20代女子の不満爆発!「今からウルトラライトダウンおっさん」が気持ち悪い

20代女子の不満爆発!「今からウルトラライトダウンおっさん」が気持ち悪い

10月も後半に入り、急激に冬の寒さが訪れ始めた日本列島。10月19日の東京都内は最高気温12度、最低気温11度という真冬なみの寒さを記録した。

 こうした急激な気温の変化に対応できないのは、我々の体調だけではない。服装もまた、冬支度が間に合わずにラインナップを揃えられずにいまだ戸惑っている人が多いのではないだろうか。

 事実、10月後半の街中を見てみると、薄着で過ごしたり(例:秋でもTシャツおじさん)、過度に着込んでしまっている中年男性をよく見かける。

 そんな中、特に20代の女性たちから、この季節強烈な批判に晒されているファッションがある。それが“ウルトラライトダウンおっさん”である。

 “ウルトラライトダウンおっさん”とは、冬のユニクロの定番商品として知られるウルトラライトダウンを着込んでいる40代おじさんのこと。ウルトラライトダウンはジャケットの中のインナーとして着込めるほか、アウトドアなどの舞台ではアウターとして着ることもできる大変便利な代物。10月の気温ならば、Tシャツの上に着るだけで外回りも難なく過ごせる。

 そんな便利なウルトラライトダウンを着るおじさんを、なぜ女性たちは蔑むのか。20代の女性たちに話を聞くと、その原因は時期にあった。

◆なぜウルトラライトダウンおっさんは嫌われるのか?

実際に女性たちの声を聞いてみよう。

「10月に着てるのは見ていて暑苦しいのでヤダ。自分はいいのかもしれないけど」(26歳・フリーター・川崎市中原区在住)

「今の季節着ているのは明らかに去年のウルトラライトダウン。急に寒くなって冬服のラインナップが少ないのはわかるけど、ダウンって2月とかじゃん?」(23歳・飲食・世田谷区在住)

「もうウルトラライトダウンを着てるオジサン、新宿に多い気がする。朝方、歌舞伎町のエスパスに並んでるおじさんの4割くらいはウルトラライトダウンを着ていてキモい」(29歳・新宿ゴールデン街勤務・新宿区在住)

「ウルトラライトダウンは確かにあったかい。けど、12月とか、1月とか、もっと冬になってから着るもの。10月は厚手のジャケットとか、トレンチコートとかを着るもの。季節感のない服を見るとこっちまで暑苦しくなってくる」(25歳・不動産・さいたま市岩槻区在住)

「室内では暑いのでTシャツ、外では寒いのでウルトラライトダウン。ファッションのバランスや色合い、素材など、何もかも考慮しないその態度は、限りなく自分の合理性だけを追求した怠惰な男性の姿の象徴だと思う」(24歳・大学院生・文京区在住)

◆「いや、個人の自由じゃん。ほっとけよ」おっさんが必死に反論するも

どうやら、ウルトラライトダウンそれ自体が批判されているわけではなく、その着こなし、さらに10月という季節に着ていることが批判の原因となっているようだ。

 むろん、こうした女性たちの批判に対し、ウルトラライトダウンおっさんたちも黙ってはいない。

 話を聞いたのは、冬の季節になると10月から4月ごろまで黒のウルトラライトダウンを着続ける、ウルトラライトダウン歴5年の男性記者だ。

「一言で言えば、『いや、個人の自由じゃん。ほっとけよ』と言いたい。別に誰が何を着ようと関係ないし、若者の批判を受けて安易に自分の服装を変えるのがイヤです。そもそも、こうやってSPA!はすぐにおじさん叩きする記事を書きがち。女性たちから我々の服装への批判があるけど、どうせ若者が同じ服装をしても叩かれないでしょう。こういう記事を出すと、Twitterでもおっさんたちから僕のようなコメントがつきますよ」(39歳・フリーライター・杉並区在住)

 だが、こうした開き直りこそが、さらに女性からの反感を買ってしまった。以下は、先程コメントしてくれた一人の女性の反論だ。

「自分が何を着ようが関係ないという態度は、女性たちからより嫌われるだけで何の得もないと思う。女性は季節感や清潔感に男性の10倍くらい敏感なので、仕事やプライベートで女性とうまくやっていきたいならば、今の季節からウルトラライトダウンを着るべきじゃないです。それでも女性からのアドバイスを無視するなら、私は別に構わないです。おそらく、そういう頑固な“ウルトラライトダウンおっさん”は今後の人生で孤立化をより強めていくのだと思います。私が勤めているゴールデン街のお店でも、自分の話と過去の武勇伝だけを話すケチなおっさんが腐るほどいます。見ていて哀れですが、人の話に耳を傾けない人にはこちらも救いの手を差し伸べることはできません」(29歳・新宿ゴールデン街勤務・新宿区在住)

 服装に関する“正解”はなかなかわからないからこそ、身近な女性のアドバイスに耳を傾けるほうが身のためかもしれない!?

ユニクロとジーユーのECストア、「後払い決済」導入 注文決定から14日内にコンビニ等で支払えばOK

ユニクロとジーユーのECストア、「後払い決済」導入 注文決定から14日内にコンビニ等で支払えばOK

ユニクロとジーユーは9月11日、オンラインストアの決済方法に「後払い決済」を導入しました。注文を決定した日から14日以内にコンビニか銀行、郵便局のいずれかで代金を支払うことで、好きな時間や場所、都合に合わせて受取と決済ができます。

2017年9月11日18時:記事初出時、ユニクロは「後払い決済」の支払いは「オーダーした商品が到着してから14日以内」と発表していましたが、正しくは「オーダーが決定してから14日以内」であったことを後に発表しました。当記事でも訂正いたします。

 従来は「クレジットカード払い(一括払いのみ)」「代金引換払い」の2択でしたが、クレジットカードを持っていない人には不便、購入時のカード情報の入力が手間、代金引換払いであっても自宅などで直接商品を受け取ることが難しいなどのデメリットがありました。

 「後払い決済」にはネットプロテクションズが提供する「NP後払いサービス」を適用。手数料は無料で、注文を確定後、ネットプロテクションズから送られてくる請求書を使って決済を完了させる仕組みです。後払い決済が利用できる限度額は、累計残高で5万4000円まで(税込、ユニクロやジーユー以外の「NP後払いサービス」適用店併せて)。14日の請求期限を過ぎても支払いのない取引がある場合、新たな利用はできません。

 「ユニクロとジーユーでは、快適なオンラインショッピングをめざし、ホームページやアプリの利便性の向上、お届けスピードの短縮化などを推進しています。ユニクロやジーユーでのお買い物が、もっと手軽で便利になるサービスを提供してまいります」(ファーストリテイリング広報部)

ユニクロ アメリカ国内の空港やSCで自販機展開!も失敗します、なぜなら?

ユニクロ アメリカ国内の空港やSCで自販機展開!も失敗します、なぜなら?

■ファストファッションのユニクロはアメリカ国内の空港やショッピングセンターに自動販売機「ユニクロ・ツー・ゴー(Uniqlo To Go)」を展開する。

タッチパネルで操作するユニクロ・ツー・ゴーは同社の主力製品である「ヒートテック・シャツ」と「ウルトラ・ダウンジャケット」を扱う。自販機販売では14.90ドルのヒートテックと69.90ドルのダウンジャケットのみに商品を絞ることで、それぞれのサイズとカラーバリエーションを豊富にする。決済はクレジットカードもしくはデビットカードとなる。決済後は、缶に入ったヒートテック(もしくは箱に入ったダウンジャケット)を、ケースが動いて受け取り口まで運ぶようになっている。

ユニクロ・ツー・ゴー1号機は8月2日、カリフォルニア州オークランド空港に設置された。8月10日にはロサンゼルス近郊にあるショッピングセンター「ハリウッド&ハイランド(Hollywood Highlnad)」、続いて17日にテキサス州のヒューストン空港、22日にはニューヨーク市クィーンズのエルムハーストのモール「クィーンズ・センター(Queens Center)」に設置予定となっている。ユニクロ・ツー・ゴーは2ヵ月間でさらに空港やモールなど6ヵ所に置かれる計画としている。

 全米最大の家電チェーンのベストバイは、ヘッドフォンやチャージャーを販売する自販機「ベストバイ・エキスプレス(Best Buy Express)」を空港やモール、基地に200台以上を展開している。なおベストバイ・エキスプレスは、自販機展開を行っているズーム・システムズ(Zoom systems)が運営している。

 10年前にはメイシーズやスーパーのセーフウェイがテステ展開を行ったが、失敗に終わっている。

トップ画像:ユニクロの自販機「ユニクロ・ツー・ゴー(Uniqlo To Go)」。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。

ユニクロの自販機販売は失敗します。ショッピングセンターなどのモールで、買い物客はフィット感や手触りなど確認できない自販機でわざわざファッションを買いません。また「ちょっと寒いから」といって下着は買いません(着替えるのはトイレ?)。アウターをお店で購入してその場で着ます。旅行者なら、例えばLAやハリウッドのロゴが入ったジャケットやスウェットなどを買うでしょう。

暑い時期にも関わらず、時にジャケット等が必要ということはあります。一方で目的地となる空港で、防寒着を購入することは、機会として少ないです。目的地に到着した直後は、機内から降りてすぐにバゲージ・クレーム・エリア(手荷物受取場)に向かいます。トイレ以外でボーディングゲート付近のお店(自販機)をブラブラと物色する人はいません。しかもまだ空港内(室内)ですから防寒具が必要かどうかは分からないでしょう。「(思ったより)寒いな」と感じるのは空港から外にでた時です。

 しかもユニクロ(ヒートテックも)のブランド認知度はアメリカ国内で低いですから、自販機では買いません。仮にユニクロの自販機展開が成功すれば、認知度のより高い競合ブランドが自販機展開に乗り出し、ユニクロを駆逐するだけです。
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