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ユニクロvs.ZOZOTOWN 柳井社長が一番嫌いな言葉

ユニクロvs.ZOZOTOWN 柳井社長が一番嫌いな言葉

週刊文春に横田増生のユニクロ潜入記が掲載されたのは、1年前の12月1日発売号でのこと。2011年に著した『ユニクロ帝国の光と影』に対してユニクロが訴訟を起こし(結果は出版社側の勝訴)、その後に柳井社長がユニクロを批判する人には「どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」と発言したこともあって、アルバイトとしてユニクロに入り込んだのであった。
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横田さんがZOZOTOWNについて記事を書いている!

バレないよう名字を変えてまでの潜入取材に、そこまでするのか! と話題になり、敬意なのか何なのか「横田さん」とさん付けで呼ばれがちとなる。このルポは10回続き、先月、それをまとめた単行本『ユニクロ潜入一年』が刊行されている。

今週の文春には、その横田さんによる「ZOZOSUITで追い込まれるユニクロの未来」が掲載。ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが、プライベートブランド「ZOZO」の立ち上げに続いて、「ZOZOSUIT」を発表したのだ。

これのどこがユニクロを追い込むのか。今週号の記事と、この裏にある『ユニクロ潜入一年』から解き明かしていく。

ZOZOSUITは、着るだけで《身体の寸法を瞬時に採寸することのできる伸縮センサー内蔵の採寸ボディースーツ》(注)で、これにより試着が不要となるため、客は通販でも安心して購入ができるようになる。しかもこのスーツは無料で配布される。
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ZOZOTOWN HPより
横田さんによれば、ユニクロも採寸に注力しており、潜入中の2016年にセミオーダーのメンズスーツを発売するが、採寸に失敗して返品となる事故が発生するなど、事業としてはうまくいっていないという。

柳井社長が一番嫌いな言葉

またZOZOSUITの登場によって、「これまで柳井社長の号令一下、人海戦術で数々難題をクリアしてきたユニクロ」といえども、採寸による顧客データを先に他社に押さえられてしまうため、店舗での売上に影響しかねないと指摘する。

ここで「人海戦術で数々難題をクリアしてきたユニクロ」と述べているのは、一見、組織力を評価しているかのようにも思えるが、実は横田さんは嫌味をいっているのである。

なぜなら柳井社長が一番嫌いな言葉が「人海戦術」だからだ。
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柳井正社長 c共同通信社
『ユニクロ潜入一年』にはこうある。「柳井社長が好きな言葉に〈少数精鋭〉というのがある。できるだけ少ない労働者で、店舗の運営を効率よく回し利益を上げていくことを意味している。嫌いな言葉は、〈人海戦術〉。多くの人件費が発生しながらも、仕事がはかどらない状態を指す」と。

なお『ユニクロ潜入一年』によれば、少数精鋭とは裏腹の店舗で“人海戦術”の一員となった横田さんは、バイトをはじめて最初の2、3ヶ月で10キロも体重が落ちるのであった。

潜入者・横田さんならではの「懐疑」

2015年の本決算発表の場で柳井社長は、「今後はEコマース事業を大幅に拡大していく」と述べる。またその具体化として、顧客情報の蓄積と、それによるリアル店舗とネット通販の融合で売上の最大化を狙う「有明プロジェクト」が発表される。

これについて横田さんは、潜入先の幕張新都心店で店長から説明を受けている。店長はホワイトボードに「ゲームのルールが変わる」「ルールを我々が作る → 一人勝ち」「『未来を予測する最善の方法は、未来を作ることだ』byドラッカー」などと書き、将来、店舗がなくなるかもしれない不安もあるが、ユニクロが取り組まなければならないプロジェクトなのだと語る。時給のバイト相手に、ドラッカーの金言を披露するのは、「全員経営」を謳うユニクロならではなのかもしれない。
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ZOZOTOWN 前澤友作社長 c山元茂樹/文藝春秋
それほどネット通販への転換を図ろうとするユニクロだが、横田さんは懐疑的だ。ネット通販においては、2004年に立ち上がったZOZOTOWNにくらべ「周回遅れの感は否めない」と。そこにきて、ZOZOSUITである。この、人によらない採寸での顧客情報の蓄積により、それこそ未来が作られようとしている。

柳井社長の「どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」を横田さんは潜入の“招待状”として受け取ったが、今回の記事は取材拒否が続く柳井社長への質問状のようにもとれる。

「ユニクロ潜入一年」ジャーナリスト横田増生さんに聞く 柳井社長は「全能の神」、いまだにサビ残も

「ユニクロ潜入一年」ジャーナリスト横田増生さんに聞く 柳井社長は「全能の神」、いまだにサビ残も

yunikuro201710270002ブラック企業と批判されながらも、日本を代表するグローバル企業としての地歩を固めつつあるユニクロ。同社の実態を抉り出そうと、1年間に渡る潜入取材を試みたのがジャーナリストの横田増生さんだ。本日10月27日、潜入取材や海外での調査をまとめた『ユニクロ潜入一年』を文藝春秋から発売した。

横田さんが、アルバイトとして働きながら調査しようと決断したのは、同社から取材拒否にあい、決算会見への出席すら阻まれていたからだ。加えて、柳井正社長自身が語った「(ブラック企業だと批判する人は)うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」という「招待」も契機になった。

今回、アルバイトとして店舗に潜入するために、妻と一度離婚してから再婚し、名字を変えることまでしたという。1年に渡る潜入取材で明らかになった、同社の実態の一端を聞いた。

労働時間の上限は月220時間、超過しても「219時間50分」などと過少報告

―潜入取材の間、どの店舗でどのような仕事をしていたのですか。

2015年10月からイオンモール幕張新都心店で8か月、その後ららぽーと豊洲店で2か月働きました。2016年10月からはビックロ新宿東口店で働いていたのですが、12月に「ユニクロ潜入一年」の記事が週刊文春に掲載され、素性がバレて解雇されました。店舗では、品出し、レジ打ち、フロアでの接客などごく普通のアルバイトとして働いていました。

―横田さんは2011年に『ユニクロ帝国の光と影』を発表されています。同書では、店長が残業代を支払われないままに月300時間以上も働いていることなどが暴かれていました。その当時と比べて、働き方は改善されたのでしょうか?

まず、店長に残業代が支払われるようになりました。そして労働時間の上限も、以前は月240時間だったのが、月220時間まで減らされています。

―ただ、以前も月240時間という労働時間の上限があったにも関わらず、実際には300時間以上働いている人がいましたよね。上限時間の設定が下がったとはいえ、本当に労働時間が減ったのでしょうか。

店長の労働時間が減ったのは確かだと思います。地域限定正社員といったスタッフに、店長の業務と責任が分散されるようになったからです。

ただ、今でも月220時間という上限を超えてサービス残業をしている人はいます。それは私が目視で確認しました。例えば、ある女性は、ユニクロの店舗で退勤処理をして、さらにテナントビルのゲートで退勤処理をした後に、一般のお客さんが使う入り口から入ってきて働くということをしていました。こうしたサービス残業は今でも行われています。

―サービス残業の実態を柳井社長は把握していないのでしょうか?

恐らく認識していないでしょうね。柳井さんのところには、例えば「219時間50分」のように220時間に収まるように調整された数字しか上がっていないと思います。しかし「サービス残業は本当にないのか?」と疑わなければ経営者として失格です。そもそも「月220時間を超えないように働け」ではなく、「220時間を超えたら報告しろ」と言わなければならないのではないでしょうか?

電通事件では、石井直社長が引責辞任していますし、新しく社長になった山本博氏は東京簡易裁判所に出廷し、有罪判決を受けています。会社における労働問題は、現場の監督者や人事部だけでなく、社長や経営者も責任を問われるようになっているんです。

出世しているのは「ユニクロ教」の信者ばかり、柳井社長は「全能の神」状態

―「今の業務量や社員の数では、月220時間に収められない」と声を上げる人はいないのですか?

そんなこと言えませんよ。もし上限を超えて働いていたら、「無能」というレッテルを貼られたり、降格させられたりするだけだと思います。

―現場の実態や不満が上層部に伝わらないとなるとあまり風通しの良い社風ではなさそうですね。

柳井さんは「全能の神」で、柳井さんの言うことは「神のお告げ」です。ユニクロでは柳井さんの決定が全てなんです。

スーパーバイザークラス以上になると、ユニクロ教にはまっている人ばかりですよ。「柳井さんの言っていることは全て正しい」と思っていないとやっていけないでしょう。トップの言うことに疑問を持たないという意味では、カルトに近いかもしれませんね。

でもユニクロの中で、儲かっているのは柳井さんだけなんですよ。柳井さんの年収は2億円で、株式の配当は年間100億円です。一方、店長の年収は500万円ほどでしょう。(※)退職金もありません。時間を詰めて身を削って働いても、柳井さんの財産が積み上がるだけなんです。

中国の工場における違法な罰金、カンボジアでは現場監督によるパワハラも

―国内の店舗における長時間労働だけでなく、海外の下請け工場における労働問題についても取り上げてますね。前著でも、中国の委託工場で17歳と18歳の女性が午前8時〜深夜3時まで働かされていたと暴露しています。

本書では、中国の工場に潜入取材を敢行した、香港の人権NGO「SACOM(サコム)」に取材しています。サコムは、調査員を工場に送り込み、違法な長時間残業や作業のミスに対する違法は罰金制度を告発しているんです。

カンボジアでも、工場で働く人々から話を聞くことが出来ました。ノルマをこなせずに職場で倒れたり、中国人の現場監督からパワハラを受けたりと劣悪な環境で働かされています。とある労働者は、4畳半ほどのスペースをビニールで囲った掘立小屋のようなところに家族5人で暮らしており、かなり厳しい生活を強いられていることがわかります。

―ナイキやアディダスといった欧米企業は、下請け企業のコンプライアンスにも注意を払っているようですね。またH&MやGAPはユニクロに先駆けてサプライヤーリスト(工場の一覧)を公開していました。欧米企業とユニクロの違いはどのようにして生まれているのでしょうか。

例えば、ナイキは1990年代に東南アジアの工場での児童労働や低賃金労働が発覚し、批判や不買運動に晒されました。そのため工場の劣悪な環境がブランドイメージに傷を付けるという認識を持っているんです。しかしユニクロは、ちょっと意識が違います。自分たちは発注しているだけだから関係がないと考えているんです。

―欧米企業といえども、批判されるまでは同じようなことをしていたわけですね。そうすると社会の目が必要になってくるのでしょうか。

ただ、日本では海外の労働問題にあまり注目が集まらないのです。深センの工場でストライキがあったとき、米ニューヨーク・タイムズや米CNNでは報道されましたが、日本ではあまり大きく取り上げられませんでした。日本では、発展途上国の労働環境に対する意識が薄いのだと思います。ユニクロの商品を使う時には、どこでどのような人によって作られたのか想像力を働かせてみてほしいと思います。

(※)同社の公式サイトに掲載された年収テーブルによると、店長クラス(S-2からS-5)では平均年収が約630〜840万円となっている。しかし横田さんによると、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリンググループ全体の平均年収は600〜700万円。ここには本社勤務の社員も含まれていることから、店長の年収はもっと低く、年収テーブルに記載された最低年収の方に近いのではないかと推測している。
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