武藤恵喜 名古屋市スナック経営者強殺事件

201302210221022111380002-p2事件概要 2002年3月14日午前3時頃、無職の武藤恵喜(旧姓)被告は金に困って名古屋市内のスナックに押し入ったが、経営者(当時61)と口論になり、自分の腕やマイクのコードで首を絞めて殺害。現金約8000円を奪った。
 その他、スナック等における無銭飲食10件及びその際犯した売上金の窃盗10件、その他の物品の窃盗2件の余罪がある。

武藤恵喜 名古屋市スナック経営者強殺事件 裁判

一審判決理由で伊藤裁判長は「被害者を確実に死亡させるため、腕で首を絞めた後にマイクのコードを使っており、執拗かつ残忍な犯行。遺族の処罰感情も厳しい」と指摘した。
 死刑を選択しなかった理由として、当初は無銭飲食や窃盗目的で店に入ったことや、店にあったマイクのコードを使っていることを挙げ、計画性はなかったと認めた。また、「無銭飲食の上、店の売上金などを盗む目的で入り、被害者に出入り口扉の鍵を掛けられたことから心理的に追いつめられての犯行との一面を否定できない」などと死刑を回避した。

 死刑を求刑した検察側は「量刑が軽すぎる」と控訴。弁護側は、犯行に計画性はなく女性を静かにさせるためとっさに首を絞めたと主張。逮捕後には贖罪の気持ちを深めており、有期刑が適当として控訴していた。
 名古屋高裁小出裁判長は「偶発的犯行の面も否定できないが、そうした状況は悪事を働こうとしている者が自ら招いた。場合によっては抵抗する店の人を殺害する事態になることは予想できた」と指摘。さらに、被告が1983年に長野県諏訪市で旅館経営者の女性(当時64)の首を電気こたつのコードで絞めて殺害し、現金などを奪ったとして殺人などで懲役15年の判決を受けた点に触れ、「今回と類似する犯行で満期近く服役した後も無銭飲食や窃盗をする生活を続けてきた。起きるべくして起きた事件」とし、判決理由で「弁護側が主張する『反省している。計画的でなかった』などいう情状はいずれも死刑を回避する理由とならない」と述べた。

 最高裁の弁論で、弁護側は「被害者が1人の事件で死刑にするのは許されない」と主張。検察側は「刑事責任は誠に重い」と上告棄却を求めた。
 才口裁判長は「強固な殺意に基づく冷酷な犯行。死刑はやむを得ない」と述べた。「指紋をふき取り、被害者の衣服の一部を脱がせてわいせつ目的に見せ掛けるなどの偽装工作を行った」と指摘。加納被告が過去に、旅館の女性経営者を今回と同様の方法で殺害し、金品を盗むなどした罪で懲役15年に処せられて、服役した前科があることを指摘。「刑事責任は重大で、死刑とした二審の判断は、やむを得ないものとして是認せざるを得ない」と結論づけた。

武藤恵喜の過去

加納恵喜被告は1983年に長野県諏訪市で旅館経営者の女性(当時64)の首を電気こたつのコードで絞めて殺害し、現金などを奪ったとして殺人などで懲役15年の判決を受けている。出所後も盗みなどで逮捕されていた。
 旧姓武藤。

武藤恵喜 名古屋市スナック経営者強殺事件 死刑執行

罪状 強盗殺人、詐欺、窃盗
犯行日時 2002年3月14日
死刑執行 2013年2月21日 62歳没