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死刑囚

毒物カレー事件19年 「何を言うてもだめや」林真須美死刑囚、家族に弱音 面会の息子には涙ぐむ

毒物カレー事件19年 「何を言うてもだめや」林真須美死刑囚、家族に弱音 面会の息子には涙ぐむ

和歌山市で平成10年7月、夏祭りのカレーを食べた住民4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒となった毒物カレー事件は25日、発生から19年を迎えた。

 3月に和歌山地裁に再審請求を棄却された林真須美死刑囚(56)=殺人罪などで死刑確定=は、決定を不服として翌月に大阪高裁に即時抗告。再審無罪に向けて執念を燃やすが、家族には弱気な一面も見せる。一方で、被害者や家族の苦痛は今なお続いている。

 大阪拘置所に在監中の林死刑囚と、夫の健治さん(72)は5、6月に面会した。再審請求が棄却されたことに林死刑囚が「何を言うてもだめや」と弱音を漏らした、と振り返る健治さんは「外からではどうすることもできないのが歯がゆい」と心境を語った。

 事件当時、まだ小学生だった長男(29)は林死刑囚と手紙のやりとりを続け、6月に面会。ふっくらとしていた体がやせ細り、白髪が目立つようになったのが印象的だったと語る。林死刑囚は「一度、事件から距離を置いて自分の人生を歩んでほしい」と涙ぐんだという。

 事件の現場周辺では現在も、精神的な苦痛に苦しむ被害者や家族が少なくない。娘がヒ素入りのカレーを食べた住民男性(70)は「今でも各地で事件が起きるたびに、カレー事件と重ねてしまう」。また、亡くなった林大貴君=当時(10)=が通っていた市立有功(いさお)小学校では、今でも給食にカレーを出していない。

毒物カレー事件

平成10年7月25日、和歌山市園部の自治会の夏祭りで提供されたカレーにヒ素が混入され、4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になった。和歌山県警は近くに住む林真須美死刑囚を殺人容疑で逮捕。無罪を主張したが、和歌山地裁は14年に死刑判決を言い渡した。林死刑囚は控訴、上告したものの21年に死刑が確定。同年7月に申し立てた和歌山地裁への再審請求も今年3月29日に棄却された。翌月、決定を不服として大阪高裁に即時抗告している。

岡山元同僚女性バラバラ殺人事件 住田紘一

岡山元同僚女性バラバラ殺人事件 住田紘一

sumita2017sikei0001平成23年9月30日、住田紘一(当時29歳)は、岡山市北区の元勤務先に退社手続きで訪問した際、同僚で派遣社員の加藤みささん(当時27歳)を言葉巧みに誘い出し会社の敷地内にある倉庫で強姦。その後、加藤さんの「命だけは助けて」という哀願も無視してナイフで10回以上刺して殺害。現金2万4千円も奪って、車で遺体を大阪市内の自宅近くにあるガレージへ運んで遺体をバラバラに切断して近くのゴミ捨て場や河川に遺棄した。

会社では、勤務中に加藤さんが行方不明になったことで大騒ぎとなった。だが、行方は杳としてつかめず警察に通報。岡山県警は、会社の防犯カメラに加藤さんと一緒に歩いている住田を割り出し重要参考人として手配。10月6日、大阪府警は自宅にいた住田を任意同行して取り調べたところ、犯行を認めたため殺人容疑で逮捕した。

岡山元同僚女性バラバラ殺人事件現場はベネッセ子会社シンフォーム

岡山市北区高柳東町の地域掲示板を調べれば、事件があったのはベネッセの系列会社シンフォームであることが判明。テニスコート近く、北側駐車場とのこと。

住田紘一死刑囚の殺人動機

住田は、犯行の10日前の9月20日に会社を退社した。犯行当日は、社員証を返却するため元勤務先に出向いた。手続きを終えた住田は、事前に強姦を計画していた3人の女性のうち、加藤さんを連れ出すことに成功した。住田は、元総務で、加藤さんは庶務を担当。2人は別のフロアで勤務しており、書類のやりとりをする程度の関係だった。犯行の動機は、「付き合っていた女性が別の男と結婚したため、むしゃくしゃした欲求不満を晴らそうと思った」と自供。実に短絡的な動機であった。

岡山元同僚女性バラバラ殺人事件 住田紘一 裁判員裁判

殺害の事実について争いはなく、量刑が争点となった。
 2013年2月5日の初公判で、住田紘一被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、住田被告が交際相手とうまくいかなかったことなどから欲求不満で女性を強姦したいと常日ごろから思い、女性を乱暴して殺害しようと計画したと指摘。「顔見知りの中から好みの女性を3人選び、声をかけてついてきてくれたのが被害者だった」とし、「住田被告は『誰にも言わんから。助けて』と懇願する被害者を無視し、殺害した。殺害態様は残虐で、極めて悪質」と述べた。
 弁護側は「計画性があっても内容は稚拙。前科もない。被告が動機をすべて語っているわけではない」と述べるとともに、強盗殺人罪の法定刑は死刑か無期懲役だが、死刑判断の基準「永山基準」を説明して、「(死刑には)被害者の人数が重視される。住田被告の両親も更生に協力する。どの刑がふさわしいが考えてほしい」と裁判員に訴えた。
 同日の被告人質問で、住田被告はマンションの同じ階に住んでいた女性を襲う計画も立てたが失敗に終わり、諦めたと述べた。その後誰を狙ったか尋ねると検察側の質問に「今回の被害者を含む3人です」と答え、被害者の女性ら3人を標的にしたことを明かした。住田被告は、以前交際していた別の女性と結婚した男性にうらみを募らせ、男性殺害を計画していたことも明らかにした。検察側に「取り調べに『出所したら男性を殺す』と話していたが、今もそう思っているのか」と聞かれ、「もちろんです」と即答した。
 6日の公判で住田被告は検察官に「殺人という行為についてどう考えるのか」と問われると、「殺人は手段として是認される。目的達成のためなら殺すことも許される。思いとどまるのは、殺人を犯して自分が捕まるかどうか、だけです」と述べた。司法試験を受験した経験もある住田被告は「犯罪者は殺してしまえばいい」と持論を展開。「今、あなた自身が犯罪者だ」と問われると「自分だけは特別視しています」と話した。証人尋問で被害者の父親が「父として一人前の幸せを与えてあげられなかった。命尽きるまで娘に謝り続けたい」と声を震わせ、「住田被告からは一度も謝罪がなく、許せる日が来るとは思えない」と厳しい口調で話した。そして「最低でも死刑。本当は楽に死んでほしくない。つらかったり、苦しんだ結果、死んでほしい」と訴えた。
 7日の公判で住田被告は被告人質問で「本当はずっと謝罪したいと思っていた。死刑になりたくて悪いことばかり言った」と態度を一変。「ごめんなさい」と涙を流した。

 8日の論告で検察側は「計画的な犯行で残虐、極めて悪質。遺族の処罰感情はしゅん烈だ。更生の可能性はない。被害者が1人であることも酌量すべき事情とならない」などとして死刑を求刑した。遺族は被害者参加制度を利用し「最低でも死刑を」と訴えた。被害者の父親はこの日、証人尋問で「私たち家族をどこまで愚弄する気か。昨日、被告が見せた涙は、悔いた涙とは思えない」と話した。弁護側は最終弁論で「計画は稚拙。犯行直前に婚約が破談になるなど同情すべき点がある」と主張。強姦や強盗目的などの事件の真相は、起訴後の被告の自主的な告白によって判明したことに加え、意図的に心情を悪くする発言をしたことにも触れ、「被告なりに命をもって償おうとしていた。極刑を言い渡すにはなお躊躇する事情もある」と訴え、無期懲役を主張した。一方で、被告は「今の私にできることは最も重い罪を受けること」と陳述した。
 判決で森岡裁判長は、住田被告が犯行場所を下見し、凶器のバタフライナイフを事前に用意するなど、「全体として入念に準備された計画性の高い犯行だ」と指摘。「被害者は強姦された上、必死の懇願もむなしく何度も刺され、無残にも殺害された」と犯行の残忍性と強固な殺意を認定したその上で、公判開始まで遺族に謝罪しなかったことなどから「反省や謝罪は不十分で、更生の可能性は高いとはいえない」と断じた。そして住田被告に前科前歴がないことや起訴後に検察官に性的暴行などを告白した点に触れ、「殺害された被害者は1人だが、結果は重大であり、死刑を回避するほど特に酌量すべき事情があるとはいえない」とした。

 弁護側は即日控訴した。3月28日付で住田被告は控訴を取り下げ、確定した。住田被告は弁護人に「判決結果は当初から受け止めようと思っていたが、迷いがあった。本当に申し訳ない。被害者に対して思いをはせ、自分にできる供養をしたい」と話したという。

住田紘一 20170713死刑執行

死刑囚2人の死刑執行

死刑囚2人の死刑執行

平成3年に京都や松江などでスナックの女性経営者4人を殺害した罪に問われ、死刑が確定した西川正勝、旧姓・金田正勝死刑囚と、平成23年に岡山市で元同僚の女性を殺害した罪に問われ、死刑が確定した住田紘一死刑囚の死刑が、13日午前、執行されました。

金田正勝死刑囚(61)と、住田紘一死刑囚(34)死刑執行

死刑が執行されたのは、西川正勝、旧姓・金田正勝死刑囚(61)と、住田紘一死刑囚(34)の2人です。

西川死刑囚は、平成3年の暮れに、京都と松江、それに兵庫県姫路市で、スナックの女性経営者4人を相次いで殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ、平成17年に死刑が確定していて、再審=裁判のやり直しを請求していました。

住田死刑囚は、平成23年に岡山市で元同僚の女性を殺害し、遺体を切断して遺棄したなどとして、強盗殺人などの罪に問われ、1審の裁判員裁判で死刑を言い渡されて、平成25年に確定していました。

裁判員制度の下で死刑が確定し、執行されたのは3例目です。

第2次安倍内閣発足以降で死刑が執行されたのは、去年11月以来、11回目で、合わせて19人になりました。

法務省は、今回の死刑執行に関連して、「死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰で、慎重な態度で臨む必要はあると考えているが、法治国家では、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないのは言うまでもないことだ」という見解を示しました。

西川正勝死刑囚 犯行当時金田正勝

死刑が執行された西川正勝、旧姓・金田正勝死刑囚は、平成3年に京都市や松江市、それに兵庫県の姫路市でスナックの女性経営者4人がおよそ半月の間に相次いで殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われました。

1審の大阪地方裁判所と2審の大阪高等裁判所はいずれも死刑を言い渡し、西川死刑囚は「死刑は重すぎる」などと主張して上告しました。

最高裁判所は、平成17年の判決で、「いずれも店に1人でいた女性経営者を襲って金を奪った事件で、4人を殺害した冷酷で残忍な犯行だ。死刑はやむをえない」として上告を退け、死刑が確定していました。

わずか半月の間に女性4人が殺害されたこの事件は、当時、社会に大きな衝撃を与え、警察庁が広域重要119号事件に指定していました。

住田紘一死刑囚

死刑が執行された住田紘一死刑囚は、平成23年に岡山市で元同僚の当時27歳の女性を殺害したなどとして、強盗殺人などの罪に問われました。

住田死刑囚は起訴された内容を認め、1審の裁判員裁判で岡山地方裁判所は「性的な欲求不満を解消するために被害者を乱暴して殺害した冷酷で残虐な犯行で、被害者が1人であっても死刑を選択するほかない」として死刑を言い渡しました。

これに対して弁護士が控訴しましたが、住田死刑囚がみずから取り下げ、4年前に死刑が確定しました。

裁判員裁判で死刑が言い渡された事件では、これまでに、川崎市で3人が殺害された事件と、熊本県で主婦2人が殺害された事件で死刑が執行されていて、今回で3例目です。

被害者1人で死刑の裁判員裁判 2審で無期懲役相次ぐ

裁判員裁判で死刑が言い渡された被害者が1人の殺人事件では、2審で無期懲役を言い渡されるケースが相次いでいます。

このうち平成21年に東京・港区のマンションで当時74歳の男性が殺害された事件では、1審の裁判員裁判で強盗殺人などの罪に問われた被告に東京地方裁判所が死刑を言い渡しました。

また、同じ平成21年に千葉県松戸市のマンションで、当時、千葉大学4年の21歳の女性が殺害された事件でも強盗殺人や放火などの罪に問われた被告に千葉地方裁判所が死刑を言い渡しました。

2審の東京高等裁判所がいずれも死刑を取り消して無期懲役を言い渡したのに対して検察が上告しましたが、最高裁判所は、死刑を選択するには過去の裁判例を踏まえて判断しなければならないとして、退ける決定を出しました。

その後、平成26年に神戸市で小学1年生の女の子が誘拐され殺害された事件でも1審で死刑を言い渡された被告に2審で無期懲役が言い渡され、検察が上告しています。

一方、13日、死刑が執行された住田紘一死刑囚は、弁護士が控訴したのに対してみずから取り下げたため、2審は開かれずに死刑が確定していました。

金田法相「慎重な検討加えたうえで命令」
金田正勝死刑囚(61)と、住田紘一死刑囚(34)死刑執行

金田法務大臣は法務省で臨時に記者会見し、「いずれの事件も、身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪うなどした極めて残忍な事案で、それぞれの被害者や遺族の方々にとって、無念このうえない事件だ。裁判所で十分な審理を経て、最終的に死刑が確定したもので、慎重な検討を加えたうえで、死刑の執行を命令した」と述べました。

そのうえで、金田大臣は、西川死刑囚が再審を請求していたことに関連し、「一般論として、再審請求の手続き中はすべて死刑の執行命令を発しないとなれば、請求を繰り返すかぎり、永久に刑の執行をなしえないことになり、刑事裁判の実現を期することは不可能となる。再審請求中であったとしても、当然に棄却されることを予想せざるをえないような場合は、死刑の執行を命ずることもやむをえない」と述べました。

再審請求中の死刑執行は異例
金田正勝死刑囚(61)と、住田紘一死刑囚(34)死刑執行

死刑囚が再審=裁判のやり直しを求めている最中に執行されるのは異例です。

法律では、判決の確定から6か月以内に死刑を執行するよう定めていますが、法務省によりますと、平成19年から去年までの10年間で、刑の確定から執行までの期間は平均でおよそ5年となっています。

刑の確定から数十年たっても執行されていない死刑囚がいる一方で、確定から1年たたないうちに執行されたケースもあります。

法務省は、執行の順番や時期をどのように決めているのか具体的な判断基準を明らかにしていませんが、再審=裁判のやり直しを求めているケースは執行されにくい傾向があります。

死刑が執行された後に再審が認められるという事態を避けるために慎重に判断しているものと見られ、再審請求中の執行は異例です。

スナックママ連続殺人 西川正勝 旧姓・金田正勝

スナックママ連続殺人 西川正勝 旧姓・金田正勝

kaneda2017sikei0001平成3年12月13日に姫路市、21日に松江市、26、28日に京都市で計4人の女性スナック経営者(45〜55歳)が首を絞められたうえ刃物で刺されて死亡。現金などが奪われた。警察は同一犯の犯行と断定、鳥取市生まれの西川正勝・死刑囚を指名手配した。西川死刑囚は翌年1月5日、大阪市天王寺区のアパートで落語家の桂花枝さんを襲い、10日間のけがを負わせたうえ、現金14万円を奪って逃走。7日朝、大阪府警に逮捕された。取り調べに対し一連の犯行を全面自供。公判で全面否認に転じたが、17年6月、最高裁で死刑が確定した。

スナックママ連続殺人 警察庁広域重要指定119号事件に指定された

4人連続殺人

平成3年12月12日、兵庫県姫路市のスナック経営者・正木久美子さん(当時45歳)を首を絞めたうえ刃物で刺殺。

同月21日、島根県松江市のスナック経営者・高橋文子さん(当時55歳)を同様に殺害。

同月26日に京都市のスナック経営者・原田京さん(当時55歳)を同様に殺害。

同月28日に京都市のスナック経営者・村上紀子さん(当時51歳)を同様に殺害。

いずれも、深夜に1人で店を開けている小さなスナックで、西川は客がいなくなるのを見計らって犯行におよんだ。警察は、17日間で4人を殺害するという前代未聞の凶悪事件で犯行手口が似ていることから同一犯人と断定し広域重要指定119号に指定した。

捜査本部は、犯行現場のうち姫路のスナックで犯人と思われる指紋を採取した。その指紋を前科者指紋カードと照会したところ、西川であることが判明したため、12月30日に全国に指名手配し行方を追った。

死刑囚 金田正勝に殺されかけた女性落語家、恐怖の体験

kaneda2017sikei0002午後、自宅にいると、府警旧庁舎2階の産経記者ボックスからポケベル連絡がきた。詰めていたサブキャップが電話の向こうで興奮気味に話す。

 「天王寺でタタキ(強盗事件のこと)が発生した。宿直明けの若手を現場に行かせたら『どうも様子がおかしい。京都や兵庫の捜査員がいる』との連絡や。119号のからみかもしれん。君も現場へ急行してくれ」

 飛び乗ったタクシーの中でいてもたってもいられず、自動車電話をかけまくって情報を集めた。

 自分が到着するまで現場はどんな状況だったのか、当時一番乗りした後輩に思い出してもらった。

 後輩は事件のあったマンションを見ているうち、妙な違和感を覚えたという。「これまで経験したタタキの発生現場と何か違う…」。大阪府警の機動捜査隊員が聞き込みをしたり、所轄署の制服警察官が現場保存の立ち番をしたりしているのはいつもと変わらない。が、その周囲で雰囲気の違う私服刑事が遠慮がちに動き回っていた。

 思い切ってその一人に声をかけると「自分は京都府警のもんや。あっちにおるのは兵庫県警や」と教えてくれたという。

 「ということは…」。通常のタタキで京都府警や兵庫県警が大阪まで出てくる訳がない。みるみる血の気が引くのがわかった。社会部デスクにタクシーの自動車電話から状況を連絡すると、「119かっ!」と電話口で声が震えていたという。

タタキの被害者は意外なことに、女性落語家の桂花枝(現・桂あやめ)=当時(27)=だった。

 西川は「隣に引っ越してきた」と笑顔であいさつに訪れた。「電話を貸してほしい」というので番号を回して受話器を渡したら「ガーッと鬼のように襲ってきた」という。花枝は花瓶を投げつけて抵抗したが、首を絞められて失神。目が覚めたら再び首を絞めてきた。要求に応じて現金を渡すと、驚くほど冷静で優しい態度になり、「二度と罪は重ねない」と手をつきながら謝って立ち去ったという。

 翌日午後、大阪市中央区の吉本興業本社で記者会見した花枝は「目をつぶると襲われた場面が浮かんで怖い。生きていられて本当に良かった」と恐怖の体験を気丈に話した。

 男は再び姿をくらました。潜伏先の手がかりをつかもうと、警察に交じり産経取材班も聞き込み(通称・コミ)を行った。これまでの経験上、コミで犯人の所在がつかめたことは一度もない。それでもやるのは「もし、つかめたら特ダネ」だからだ。事件取材の原動力はこの「もしつかめたら」の期待に負うところが非常に大きい。

 7日朝、西川は花枝のアパートから東へ400メートルほど離れたマンションで、観念したように無抵抗で逮捕された。前日夜からそのマンションの母子2人暮らしの部屋に「親夫婦の仲が悪くて一緒にいられない。しばらく置いてほしい」とうそをついて上がり込んでいた。母親は幼いわが子を守るため徹夜で身の上話を聞き、出頭を促したという。

 西川は幼少時に両親と死別するなどし、母親の姿を日々追い求めたという。そんな中で中年のスナックママに近づいたが、拒絶され…。不幸な生い立ちであったが、あまりに極端な思考形態だった。

金田正勝の生い立ち

西川は、鳥取県で姉4人の末っ子として出生。9歳の時に母親を失い、父親は土木作業員で出稼ぎに出たまま行方不明になった。中学に入ると非行に走り、養護施設や少年院に送致された。1974(昭和49)年7月、18歳になった西川は鳥取市でスナックのママ(26)の営業態度を勘違いし、いきなり関係を迫って抵抗されたため殺害し松江刑務所に10年間服役した。

松江刑務所を出所した1979(昭和54)年、西川は松江駅前のパチンコ店に就職したが、出所後2ヶ月にして強盗致傷事件を起こし再び刑務所に戻る。結局、懲役7年の刑を受け1991(平成3)年10月に鳥取刑務所を出所。鳥取刑務所を出所してから2ヵ月後の1991(平成3)年12月、姫路のスナック・正木さん殺害から連続4人の殺人が始まったのだった。

18歳以降、刑務所暮らしは17年間で社会にいたのは僅かに5ヶ月間だった。1995(平成7)年9月の大阪地裁、1995(平成13)年6月の大阪高裁はともに西川に対して死刑判決を下している。2005(平成17)年6月7日、最高裁は西川の上告を棄却して死刑が確定した。

金田正勝 死刑執行

平成3年に京都や松江などでスナックの女性経営者4人を殺害した罪に問われ、死刑が確定した西川正勝、旧姓・金田正勝死刑囚と、平成23年に岡山市で元同僚の女性を殺害した罪に問われ、死刑が確定した住田紘一死刑囚の死刑が、7月13日午前、執行されました。

西川死刑囚の死刑執行 引き延ばし「再審請求」考慮せず 法務省の強い姿勢

西川死刑囚の死刑執行 引き延ばし「再審請求」考慮せず 法務省の強い姿勢

法務省が13日に死刑を執行した2人のうち警察庁指定119号事件の西川正勝死刑囚(61)=大阪拘置所=のケースは、極めて異例となる再審請求中の執行だった。執行引き延ばしを目的に繰り返される再審請求を考慮しない、という法務省の強い姿勢も浮かび上がる。
 法務省によると、今回の執行で確定死刑囚は、再審開始決定が出され、刑の執行が停止された袴田(はかまだ)巌さん(81)を除き124人で、うち7割以上の91人が再審請求中だ。
 刑事訴訟法は、死刑判決確定の日から6カ月以内に執行を命じると定めるが、再審請求の手続きが終了するまでの期間は6カ月に含めないとも記載。この間の執行命令を禁じる規定はないものの、運用では「再審請求や恩赦出願などを行っておらず、予定もない」(法務省関係者)ことが重視され、再審請求中の執行を回避する傾向があった。
 ただ、過去にも請求中に死刑が執行された例はある。平成11年12月、請求中だった元死刑囚の刑を執行。翌年、当時の法相は「請求していても、当然棄却が予想される場合はやむを得ない」と話した。
 省内には、何度退けられても再審請求を繰り返すことで死刑囚の刑執行が引き延ばされれば、公平な運用が求められる死刑制度の根幹が揺らぐとの危機感があったとされる。金田勝年法相はこの日午後の記者会見で「請求をしているから、執行しないという考えは採っていない」と強調した。最高裁までの三審制での確定判決を重視する原則を示したものだ。
 ただ再審請求は、三審制を経てもなお起こりうる冤罪(えんざい)などの誤りを是正する最後の手続きだ。実際、最高裁での死刑確定後に再審無罪が言い渡されたケースは戦後4件ある。

関係者によると、3年にスナックの女性経営者4人を殺害し、17年6月の上告棄却で死刑が確定した西川死刑囚はこれまでも複数回、再審請求をして退けられていた。死刑廃止に取り組む小川原優之(ゆうじ)弁護士は「繰り返し請求をして再審開始が決まる事件もある。冤罪の危険は常にあり、請求中の執行はすべきでない」と批判した。
 一方、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の高橋正人弁護士は「法相が萎縮せず執行した。大いに結構なことだ。今後の運用にも影響を与えるだろう」と評価した。
 賛否が分かれた再審請求中の死刑執行。法務省が今後も同様の判断をするのかどうか注目される。
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