都民ファーストの会「唯一落選した男」敗戦の弁

7月2日に投開票が行われた東京都議選では、地域政党「都民ファーストの会」が大勝利をおさめ、候補者50人のうち49名が当選。都議会での第一党を確保した。

 会の発足後まもなくは、自民党から合流した議員を合わせても5人で、都議会での代表質問権を得るのがやっとだったことを考えると、大きな躍進である。

 都民ファーストの会は、どの候補も東京都知事の小池百合子を前面に押し出して選挙に臨み、小池自身も応援のため各地を精力的に巡った。そのかいもあってか、“都民ファースト旋風“ともいえる勢いで、当確を増やしていった。

 しかし、いつまで経っても当確が出ず、ついには候補者のなかでただひとり落選してしまった人がいた。その選挙区は伊豆大島や八丈島などからなる「島しょ部」だ。

 なぜ“都民ファースト旋風”は、島部には届かなかったのか。都民ファーストの会から立候補していた、山下崇(やました・そう)氏に話を聞いた。

 まず、落選してしまったことについての思いは?

「公認のなかで唯一の落選は、私の不徳のいたすところです。ご支援いただいた皆様には、感謝してもしきれません。知事には迷惑をかけてしまったので、申し訳ない思いです」

 島しょ部は、南北1200kmにわたっており、移動には飛行機や船が不可欠。天候によっては移動が困難な場合も。

「選挙区が広く、多くの島を移動するのはなかなか大変なので、1日でひとつの島を回るのが精一杯。そう考えると、現職有利だったのは事実です」

 定数1のこの選挙区では、長い間、自民党系の候補が議席を持ち続けてきた。

「今回当選した候補は3期めですが、その前から40年以上、自民党が議席を持っている。そのなかで、現職の支持層を覆せなかったという形です」

 選挙の最終日には小池百合子が八丈島へ応援演説に駆けつける予定だったが、天候不良で飛行機が飛ばず、断念。もしこれが実現していたら、結果は変わっていたのだろうか。

 この質問に対し、山下氏は「期間中、何回かは応援に入っていただく予定だったのですが……。たらればを言っても仕方ないのですが、もしあと一島くらい、一緒に回っていただけていれば……」と言葉を濁した。

 今年の2月まで自民党所属の八丈町議を務めていたが、辞職して都民ファーストへ合流した山下氏。残念ながら落選してしまったが、一定の意義を感じているという。

「これまでは、島しょ部の選挙が取り上げられることがありませんでした。今回の選挙では、テレビで選挙運動を報道してもらったり、新聞社が島の財政状況を記事にしてくれたり、都市部の皆様に、『同じ東京でも、こんな場所もあるのだ』と、少しは島の現状を知っていただくきっかけになったのでは。投票率も前回より伸びましたし、自民党一強のままでは、こうはならなかったと思います」

 今後については、「4100人の方に名前を書いていただいた重みを感じながら考えていきたい」としている。