緩和マネー、目詰まり=膨らむ預金、融資に回らず―預貸率、8年連続低下・全銀協

金融機関の預金のうち、貸し出しにどの程度回っているかを示す「預貸率」の低下が続いている。全国銀行協会の集計によると、全116行の2016年度末時点の預貸率は、前年度末比1.1ポイント低下の66.9%となり、00年度末以降で最低を更新した。日銀が大規模緩和で大量に供給する資金が融資に回らず、預金に滞留する「目詰まり」が起きている。

 預貸率は00年度末に80%超だったが、最近は8年連続で低下。日銀は16年2月、資金需要を喚起するためマイナス金利政策を導入したが、下落に歯止めがかかっていない。

 企業は好業績で潤沢な手元資金を抱えており、低金利でも借り入れは増えにくい。一方、利回り低下で国債の運用が難しくなり、一定の利息収入が見込める預金に資金が流入している。

 16年度末の預貸率を業態別に見ると、都市銀行が2.4ポイント低下の60.5%だった半面、地方銀行は1.0ポイント上昇の72.9%と明暗が分かれた。これは法人預金が都銀に集中していることが主因だ。

 融資の伸び以上に預金が膨らめば、銀行の利息支払いの負担が増す。116行が16年度に支払った預金利息は、前年度比15%増の7701億円と5年ぶりの高水準に達したが、融資による利息収入はほぼ横ばいだった。融資の元手となる預金が余剰なら、貸出金利の引き下げ競争も起きやすい。大手行幹部は「大規模緩和の長期化は銀行経営の重荷になっている」と懸念している。