「一蘭」摘発で業界の悲鳴…人気ラーメン店も外国人頼み

ichiran201712020001

飲食店の人手不足問題

人気とんこつラーメン店「一蘭」が11月29日、大阪府警に“ガサ入れ”され、飲食業界関係者は戦々恐々だ。一蘭といえば、一人一人仕切られた「味集中カウンター」で知られる。

「きっかけは、一蘭の道頓堀店別館(大阪市中央区)でアルバイトをしていたベトナム人の女(29)です。5月に警察官から職務質問を受け、不法就労が発覚しました」(捜査事情通)

女は29日までに、入管難民法違反容疑で逮捕され、一蘭も同日、必要な届け出を怠っていた雇用対策法違反の疑いで福岡市博多区の本社などを家宅捜索された。一蘭は「事実関係を確認中でコメントできません」(広報担当者)としているが、急拡大のツケと見る向きもある。

「1993年の設立から年商も店舗数も右肩上がりで、13年度に100億円を突破し、16年度は174億円。10月時点で国内69店舗、海外4店舗という一大チェーンに成長しました。昨年10月には米NYに出店し、日本円で1杯2000円という価格でも話題に。有名ラーメン店の中でもインバウンド人気が高いですね」(調査会社関係者)

1月時点で社員数295人、アルバイト数5368人という大所帯だ。急拡大のひずみが生じても、不思議じゃない。

「逮捕されたベトナム人の女が働いていた道頓堀店別館では、アルバイトの基本時給が1200円以上、早朝1300円、深夜なら1500円で募集をかけている。それでも人が集まらない、人手が足りないから、外国人に頼らざるを得なかったのでしょう。飲食業界は外国人労働者抜きに回らない。一蘭に限らず、いずこも同じです」(外食チェーン関係者)

一蘭の吉冨学社長は、HPで「人間教育に力を入れ、コンプライアンスを重視」などと語っているが、そうも言っていられない店は多い。

「一蘭の“摘発”は一罰百戒の意味もあるのでしょうが、外国人労働者に対する締め付けが厳しくなって人手不足が加速すれば、これまで以上に人件費が高騰する。そのぶん材料費を削れば、客足が遠のく。立ち行かなくなる飲食店が激増する恐れがあります」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)

飲食業界全体にひずみが生じている。