大家ら3人殺害、男に死刑=裁判員裁判―横浜地裁

川崎市のアパートで大家とその弟夫妻を殺害したとして、殺人罪に問われた無職津田寿美年被告(59)の裁判員裁判で、横浜地裁(秋山敬裁判長)は17日、求刑通り死刑判決を言い渡した。裁判員裁判の死刑判決は6例目。
 津田被告は3人殺害を認めており、最初に殺害した大家の弟への殺意の有無が主な争点だった。
 検察側は論告で、津田被告がアパート隣室に住む大家の弟が開け閉めするドアの音などに一方的に不満を募らせ殺害しており、「短絡的で身勝手な犯行」と非難。刺し傷が心臓を貫通したことなどから、「強い殺意があった」と指摘した。
 現場に居合わせた大家と弟の妻殺害は「目が合っただけで敵と考え刺し殺した」とした。
 弁護側は最終弁論で、大家の弟の殺害について脅すつもりで殺意はなかったと反論。ストレスが極限状態になった末に起こしており、計画性はなく衝動的で、無期懲役が相当と主張していた。
 津田被告は、公判前に実施された精神鑑定で責任能力に問題はないとされた。
 判決によると、津田被告は2009年5月、川崎市幸区のアパートで、大家の柴田昭仁さん=当時(73)=と弟の嘉晃さん=同(71)=、嘉晃さんの妻敏子さん=同(68)=を刺殺した。