オリンパス 笹・次期社長 提携「5月中にも最終結論」

オリンパスの次期社長に内定している笹宏行執行役員(56)は2日、毎日新聞のインタビューに応じ、最大の焦点となっている同業他社との資本提携交渉について、5月中にも最終的な結論をまとめたいとの意向を示した。オリンパスの提携先を巡っては、医療事業の強化を目指すソニーや富士フイルムホールディングス(HD)、テルモの3社が名乗りを上げている。ただオリンパスは自主再建路線も捨てておらず、4月20日の臨時株主総会で新経営体制発足後、調整を本格化する。

笹氏はソニー、富士フイルムHD、テルモの3社からの提携打診について、「(企業の買収・合併を助言する証券会社である)ファイナンシャルアドバイザーを通じて聞いている」として認めた。そのうえで、「(提携は)選択肢の一つと考えているが、決めたということはない」と強調した。一時、提携先として名前が挙がっていた韓国電機大手サムスン電子については「報告を受けていない」とし、現時点で提携先として検討していないことも明らかにした。

 一方で、他社と資本提携せず自主再建する可能性について「それもある」と主張。提携と自主再建のどちらの可能性が高いかについては「ニュートラルだ」と述べた。

 新経営陣として策定する資本提携の考え方も含めた経営戦略については「6月の定時株主総会までに(まとめたい)」とし、早ければ5月中にも発表したいとの考えを示した。

 昨年12月末現在で、4.4%まで低下した自己資本比率については「同業他社の状況も踏まえ、少なくとも30%超を考えていきたい」と主張。達成時期については「方法論にもよる。我々を取り巻く環境のリスク分析もしないといけない」とし明らかにしなかった。

 一連の不祥事を受けた再発防止策については「社外取締役を社内取締役より多くすることなどで、経営の構造を変えていく」と強調。東京証券取引所が1月、オリンパス株の上場を維持したうえで、企業の内部管理体制の改善を求める「特設注意市場銘柄」に指定したことについては「大変ありがたい。特設銘柄解除に向け努力していく」と述べた。

 顕微鏡などの製造販売を手がける「高千穂製作所」として1919年、東京で創業。49年にオリンパス光学工業、2003年にオリンパスに社名変更した。「ペン」シリーズなどのカメラで知られるほか、消化器内視鏡は世界で約7割のシェアを握るなど、売上高の4割強を医療分野が占める。

オリンパスとは…

昨年4月に社長に就任したマイケル・ウッドフォード氏(同10月に解任)が、英医療機器メーカーの買収を巡る資金の流れについて調べたのを機に、旧経営陣による巨額の損失隠しが発覚。損失分などを財務諸表に反映させた結果、自己資本比率は昨年3月の11.0%から12月に4.4%に低下した。東京証券取引所は有価証券報告書などの虚偽記載で上場廃止も検討したが、株主への影響などを考慮し今年1月に上場維持を決定した。