2016年の家計予想図 食費削り、預貯金取り崩し…ずしりと重い負担

20120810-00000002-fsi-000-3-view消費税増税に加え、東日本大震災の復興増税、社会保険料の引き上げ、さらに首都圏の住民には東京電力の電気料金値上げものしかかり、家計の負担は重くなる。大和総研の試算などをもとに、2016年の家計予想図を描いた。

「マイホームは諦めるしかないのか…」

東京都内の中堅メーカーに務める男性(40)は頭を抱えた。妻と小学生の子供2人の4人家族。長引く不景気で給与水準は上がらず、年収は約500万円だ。

 大震災から5年がたち、消費税は2段階で増税された。生活に厳しさを感じ始めたのはそのころからだ。妻の家計簿を点検してみると毎日の買い物に消費税10%がかかり、年間17万円近く出費が増えている。

 15歳までの子供がいる世帯を対象にした減税(年少扶養控除)は民主党政権が廃止した。その分を財源に充てるはずだった「子ども手当」は「児童手当」に名を変えて縮小された。あてにしていた子育て資金は、これで10万円以上消えた。

 電気代も上がり、厚生年金保険料は17年まで毎年引き上げが続く。あれこれ合わせると何と34万円以上の負担増になった。

 「どうやって穴埋めしたの?」。驚いた男性は妻に尋ねた。食費や光熱費のほか、夫婦の洋服代、子供たちが楽しみにしている外食費など日々の生活を少しずつ切り詰めたうえで、足りない分はマイホームの購入や老後に備えて毎月6万円を積み立てていた預貯金を削っていたらしい。

 子供たちの進学費用など今後の出費を考えれば、預貯金は減らしたくない。男性は困り果て、家計の専門家に相談することにした。

 ファイナンシャルプランナーの柳沢美由紀さんは「預貯金だけで負担増に対応すれば毎月3万円が消える計算。将来設計を考えると非常に重い」と指摘。「優先順位を付けてストレスを減らしながら節約すべきだ」と助言する。

 まず着目するのは固定費だ。生命保険料や携帯電話の料金、利用していないスポーツクラブの会費など毎月引き落とされる経費を見直せば、着実に節約できる。

 日々のやりくりは毎月使える金額を大まかにでも把握したうえで、こだわりの少ない分野から順に減らしていくのがコツだという。「周囲のまねをして食費など特定の分野を削らなくてはいけないと思い込むと、かえって続かないケースが多い」(柳沢さん)からだ。

 ただ、いくらストレスを減らしても家族には我慢を強いることになる。「とりあえず晩酌を減らすか」。家族を守るため、男性は「身を切る改革」に取り組むことを決めた。