愛知一家殺傷 命ごいされ、三男殺害ためらう 林容疑者
愛知県蟹江町の会社員、山田喜保子(きほこ)さん(当時57歳)方で一家3人が殺傷された事件で逮捕された中国人の無職、林振華(りん・しんか)容疑者(29)=強盗殺人などの疑い=が「山田さんの三男に『殺さないで』と言われ、ちゅうちょして殺せなかった」との趣旨の供述をしていることが、捜査関係者の話で分かった。一方、殺害された山田さんと次男雅樹さん(当時26歳)は、家に侵入した林容疑者に出合い頭に襲われて殺害されたとみて県警が調べている。【岡大介】林容疑者は09年5月1日午後8時半から2日正午ごろまでの間に山田さんと雅樹さんを殺害し、2日未明に帰宅した三男(28)の首などを刺して軽傷を負わせたとされる。なぜ三男だけが助かったのかが事件の謎の一つだった。
三男はコードで手を縛られ、長時間にわたって監禁状態に置かれた。捜査関係者によると、林容疑者は三男から「殺さないで」と請われた。また、三男に「金、どこ?」と問いかけ、三男から早く家を出ていくように言われると「逃げてもすぐ捕まるし」「俺もそうしたいけど今は無理」と答えるなどしたといい、言葉を交わすうちに殺害をためらうようになったとみられる。
林容疑者は調べに対し「金に困り、近鉄電車に乗ってたまたま蟹江駅で降りて盗みに入る家を物色し、山田さんの家に入った。気付かれたら殺すつもりだった」と供述しているという。県警は、林容疑者が窃盗目的で山田さん方に侵入し、居合わせた山田さんをいきなり襲って殺害、その後帰宅した雅樹さんも殺害したとみて経緯を調べている。