TPPでブランド品が安くなる? 価格が影響される可能性のある商品は
日本、アメリカを含む12カ国が交渉に参加し、関税撤廃を目指しているTPP(環太平洋経済連携協定)。「日本の農業が壊滅的な打撃を受ける」との批判も多い一方、「関税が撤廃されれば安い産品が海外から輸入されるようになるのでモノが安くなる」などの声も聞かれるため、消費者としては家計への影響も気になります。TPPによって価格が安くなったり、高くなったりする可能性がある商品にはどんなものがあるのでしょうか。第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永濱利廣氏に聞きました。
食料品は軒並み値下がり コメの価格は?
TPP交渉には現在、日本、アメリカ、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、オーストラリア、ペルー ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダの合計12カ国が参加。農業、繊維・衣料品、工業などの物品市場だけに留まらず、知的財産、金融、投資、労働など幅広い分野について話し合われています。政府は、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の5項目を「聖域」として関税撤廃から守る意向ですが、今後の交渉によっては、死守できるか疑問視する声もあります。政府が「聖域」の一部品目の関税撤廃を検討しているとの報道もあります。
仮にこれらコメなどの重要5項目の関税が撤廃されれば、国民への影響は絶大。外国から安い産品が輸入され、値段が大幅に下がることが予想されます。
「コメは778%の関税がかかっているため、大きく値下がりするはず。完全撤廃とならなくても、TPPの影響で関税率が下がることも考えられます。小麦はパンや麺、お菓子などに使われているので、広く値段に影響が出るでしょう。そのほか野菜や果物など、食料品は軒並み値下がりする可能性が高いです」(永濱氏)
これらの5項目を守るため、政府は皮革製品と酒類の関税撤廃を提案する方針との報道もありました(産経新聞、9月21日付)。永濱氏によると、「仮に報道の通りになるのならば、皮革製品の高級ブランド品や外国産のお酒が安くなると想定されます」とのこと。報道によると関税が撤廃されれば、日本酒の輸出促進につながる可能性があるそうです。
永濱氏の見立てでは、5項目のうち関税撤廃を免れる可能性が一番高いのは砂糖だと言います。
「砂糖の関税が撤廃されると鹿児島や沖縄、種子島など特定地域の産業が壊滅してしまうからです」(永濱氏)
となると、砂糖の値段は変わらなそうです。ほかにも、大豆や花は関税がもともとゼロなので影響は少ないとのこと。
軽自動車は値上がりの可能性
逆に高くなるものには、どんなものがあるのでしょうか。「現在、日本では軽自動車は税制が優遇されているので、安く買うことができます。しかし、『軽自動車を優遇しているから日本で外国車が売れない』との声もあり、交渉の過程でここに外国から圧力がかかる可能性もあります。そうすれば、軽自動車は高くなるでしょう。あとは、新薬の特許期間が延長されて、安いジェネリック薬品が出しにくくなることも可能性として指摘されています」(永濱氏)
当然、関税撤廃や経済連携が進めば、該当する産業に大きな影響が出るため、単純に「高くなるか、安くなるか」だけでは、この問題を論じることはできません。また、工業製品などを海外に売りやすくなる見通しもあります。我々の生活に大きな影響を及ぼすTPP。すでに交渉が本格化しているため、これからも目が離せませんね。






