5大銀行 最終益1.6%減…利ざや縮小響く 9月中間

5大銀行グループの2014年9月中間連結決算が14日出そろった。最終(当期)利益の合計は前年同期比1.6%減の1兆6300億円と減少したものの、08年のリーマン・ショック後で過去最高だった昨年に次ぐ水準となった。ただ、国内企業の資金需要の本格回復には至っておらず、本業の貸し出しによる利益は伸び悩んでいる。

最終利益の合計が減ったのは、今年は春から夏に株価が伸び悩み、投資信託の販売手数料が減ったことなどが主因。ただ、景気の緩やかな回復で企業の業績が改善し、貸し倒れに備える費用が想定を下回ったことや、円安進行により海外向け貸し出しの利息収入が円換算で増えたことで、前年とほぼ同水準の利益を確保した。

 しかし、銀行の本業の貸し出しによる利益は低調だ。国内法人向けの貸し出しそのものは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が今年3月末比2000億円増、三井住友FGが5000億円増など、景況感の改善を受けて増加基調にある。ただ、設備投資や海外でのM&A(企業の合併・買収)など前向きな資金需要は一部の大企業に限られる。企業の手元資金は潤沢で「ダイレクトに貸し出しの増加につながらない」(三井住友FGの宮田孝一社長)のが現状だ。

 日銀の大規模な金融緩和や銀行同士の競争激化による金利低下も追い打ちをかけている。銀行の収益の源泉は、企業などへの貸出金利と預金など調達金利の差である「利ざや」だが、縮小傾向に歯止めはかかっていない。

 こうした状況から、貸し出しなど本業のもうけを示す業務純益は三井住友FGとみずほFGの2グループが減益。三菱UFJFGは昨年12月に買収したタイのアユタヤ銀行の収益が上乗せされた効果で2桁の増益となったが、利益を増やした3グループも海外事業や「保険販売と資産承継ビジネス」(りそなホールディングスの東和浩社長)といった国内貸し出し以外の事業で利益を稼いでいるのが現状だ。日銀が10月末に追加金融緩和に踏み切ったことで、今後も「長期金利が低下し、それをベースに貸出金利が下がる」(三菱UFJFGの平野信行社長)見通しで、利ざやの縮小は当分続きそうだ。