ソニー、各事業部に「利益重視の計画」を指示=平井社長
ソニー<6758.T>の平井一夫社長は18日に開いた投資家向け説明会で、2015―2017年度の中期事業計画の策定にあたり、グループ内の各事業部に対し「利益の安定確保を重視した計画」を作るように指示したことを明らかにした。ソニーは18日と25日の2回に分けて、投資家説明会を開催。1回目の18日は、映画・音楽のエンターテインメント事業について、同事業の最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・リントン会長が2017年度の目標を示した。
25日には、スマートフォン(スマホ)、ゲーム、デジタルカメラなどエレクトロニクスの各事業ごとの投資家説明会を開き、2017年度の目標を示す。スマホの競争激化で減損処理に追い込まれたモバイル事業は、16日に事業トップに就任したばかりの十時裕樹氏が国や地域の戦略を語る。
平井社長は、グループの各事業部に対しては「それぞれの事業環境や競争の状況をしっかりと分析し、それを前提に利益を安定的に確保することを重視した計画を作るよう私から指示した」とした。
これら各事業部の目標数値をもとに、ソニーは、本社の費用や事業部間の調整を加味した上で、2015―2017年度の連結グループとしての中期計画を策定する予定。
平井社長は「私に期待されているのは、ソニーはどこに向かっていくのかという全体の成長戦略のロードマップを示すことだ」と指摘。その上で、連結数値、資源配分、新規事業など「ソニーが中長期に目指す姿」ついて、今年度中に経営方針説明会を開いて自ら語る予定だと明らかにした。
<映画・音楽は「副業」でない>
平井社長は、18年連続で黒字を計上するエンターテインメント事業について「あたかも副業のようにとらえる向きがあるが、ソニーグループの大きな柱」と述べ、エレクトロニクスと同様に中核事業だと強調した。
エンターテインメント事業の2017年度の目標は、映画部門で売上高を100―110億ドル(2014年度予想は81億ドル)、営業利益率は7―8%(同6.6%)を目指す。
「スパイダーマン」など劇場映画のヒットに頼るだけでなく、ドラマやトークショーなどテレビ制作を強化する。さらに、テレビチャンネル運営会社を買収するなど、広告料や視聴料が期待できる放送事業(メディアネットワーク事業)を成長領域と位置付けて、世界各国での投資を拡大する。
映画部門のコスト削減は、2014年度には年間2億6000万ドル、2015年度には同3億ドルに達する計画。人件費や調達費の削減により、昨年11月に発表した年間2億5000万ドルのコスト削減目標を5000万ドル増額で達成する見込み。
音楽部門の売上高は、2017年度に48―52億ドル(同48億ドル)、営業利益率は10.5―11.5%(同9.8%)を目指す。音楽市場は縮小傾向で、CDのパッケージ販売だけでなくダウンロード販売も減少しているが、ストリーミング配信を強化し、広告収入や月額課金の比率拡大で利益を追求する。
エンターテインメント事業の投資家説明会は、昨年11月に米ヘッジファンドのサード・ポイント社の要求を受ける形で開催しており今年で2回目。今年は、不振が続くエレクトロニクス事業についても投資家説明会を開くことにした。エレクトロニクス事業の構造改革は、今年4月に就任した吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)が、パソコン撤退、テレビ分社化、スマホ減損などを主導した。