駄々っ子・党利党略…解散名称、野党は酷評戦術

小泉政権での「郵政解散」、中曽根政権での「死んだふり解散」など、衆院解散はその時々の政治情勢を表す名称が付けられてきた。

 安倍首相が解散を表明した今回はどんなネーミングになるのか。解散の大義や衆院選の動向にも影響を及ぼしかねないだけに、与野党間でさや当てが活発化している。

 解散に大義がないと主張する野党は、安倍首相やその経済政策「アベノミクス」を酷評する通称を次々披露している。

 「駄々っ子解散だ」

 民主党の海江田代表は19日、こう語った。衆院議員任期を2年余りも残し、消費増税を先送りせざるをえないほど「アベノミクス」が失速している中、解散を決断した首相は自分勝手だというわけだ。

 維新の党の江田共同代表も、「アベノミクスの正体がばれるので今のうちに解散してしまう(という)『経済失政解散』だ」と断じた。

 このほか、民主党の枝野幹事長は「首相による身勝手解散」と命名。江田氏はさらに、「疑惑隠し解散」「党利党略解散」など、解散の名称を相次いで繰り出している。こうした発信を続けることで、首相や自民党のイメージダウンを狙う戦術のようだ。

 対する与党。自民党の大島理森前副総裁は19日、記者団に「民主主義の根本である税の問題について国民に信を問う。『民主主義の王道選挙』だ」と説いた。

 同党の高村正彦副総裁は、アベノミクスを進めるかどうかを再確認する「念のため解散」と名付け、返す刀で、「(これまで言及しなかったのに)実際に選挙になると、(消費増税)先送り容認と言っている。究極のポピュリズムだ」と民主党を批判した。

 消費増税への慎重論を唱えてきた議員からは、アベノミクスをさらに推進する信任を得るための「アベノミクス第2弾解散」(自民党・山本幸三議員)と評価する声が上がっている。

 自民党内には「アベノミクスが是か非かを判断するのだから、『アベノミクス解散』が最も自然な名称だ」との声が聞かれる。しかし、7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値で2四半期連続のマイナス成長になったことが明らかになった直後だけに、「『アベノミクス解散』だと野党に攻撃材料を与えてしまうのではないか」との本音も漏れている。