工藤会事務所に使用制限命令=殺人謀議に使われた疑い―福岡県公安委

特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の本部事務所など4カ所について、福岡県公安委員会は20日、殺人事件の謀議に使われた疑いがあるとして、改正暴力団対策法に基づく事務所使用制限命令を出した。特定危険指定暴力団に限られた措置で、対立抗争中でない暴力団への事務所使用制限命令は全国で初めて。
 工藤会をめぐっては、これまでにトップで総裁の野村悟被告(68)ら幹部が、元漁協組合長に対する殺人容疑や、女性看護師に対する組織的殺人未遂容疑で逮捕、起訴された。
 県警組織犯罪対策課によると、捜査の過程で本部事務所などが謀議に使われた疑いが浮上。使用制限命令により、組員が事務所に集まって定例会を開くなど暴力団の活動に用いることが禁止され、違反すると懲役3年以下の罰則が科される。命令の期間は最大3カ月で、制限延長は可能となる。
 同課は13日、現在も組事務所としての機能を有しているかの最終確認のため、事務所に立ち入り検査を実施。県公安委は17日に工藤会側からの意見聴取を行った上で命令を出すことを決めた。