福島でも退職職員への記念品大量購入

福島でも退職職員への記念品大量購入

 福島県と福島県教委が東日本大震災後、退職する職員への記念品を公費で大量購入し贈呈していたことが19日分かった。「社会通念上許される範囲内」としているが、福島第1原発事故で多くの県民が避難しているさなかだけに、被災者から批判の声が上がっている。

 県は2011〜13年度、退職した633人に会津漆器の置き時計を贈った。横約47.5センチ、高さ約22.5センチ、奥行き約4.5センチで、県花シャクナゲの蒔絵(まきえ)が施されている。単価は約2530円。3年間で168万3873円を支出した。
 同時期に県教委を退職した1321人は、キリ材の小型たんすを受け取った。縦横とも約20センチ、奥行き約19センチで上下2段の引き出しがあり、シャクナゲが蒔絵で描かれている。単価は約2300円で、3年間の支出は318万4410円だった。
 県は勤続30年の職員に、置き時計と同価格の会津漆器の花瓶を贈っていたが「財政上の理由」で04年度に取りやめた。県教委は永年勤続表彰で記念品は贈呈していない。
 県人事課の担当者は「長年勤務し県に貢献した職員への記念品なので、社会通念上理解される範囲内だと考えている」と説明する。
 永年勤続表彰の記念品廃止との整合性については「在職中の職員と異なり、退職する職員の功績を踏まえて続けている」とし問題はないとの見解を示した。14年度以降の扱いは他県の状況を参考にするという。
 県教委職員課の担当者は「県の教育に長年貢献した職員への記念品として金額は適正で、理解は得られると考えている」としている。14年度も継続する方針だが、他県の状況を考慮し対応するという。
 記念品の贈呈について、原発事故で福島県川俣町に避難する飯舘村関根松塚地区の高橋文男区長(64)は「原発事故後の大変な時にもかかわらず、漫然と続けてきたのだろう。無駄をなくすと言うが、本音と建前は違うようだ」と批判した。
 震災後、公費による職員への物品授与は東北農政局(仙台市青葉区)を含む農林水産省と、宮城県でも行われた。