自転車にも乗れないコラムニスト辛酸なめ子が免許不要のシニアカー「モンバル」に乗ってみた!

自転車にも乗れない、コラムニストの辛酸なめ子さん。徒歩5分の店へ行くのに自転車でコケながら30分かかったという逸話を持つ人。今回、そんな彼女にこそ試乗してほしいモノがある、という編集部の依頼を快諾していただいた。素敵な人だ。

乗ってもらったのはシニアカーのホンダ「モンパル」。髪を揺らす春風のなか、東京のど真ん中青山一丁目周辺を試乗(散歩)してもらいました。

■運転とは無縁に生きてきましたが……

運転免許を持っておらず、自転車にも乗れない私はもう人生で乗り物を運転することなどないとあきらめていました。

そんなある日、編集部から一本の電話が。免許不要の乗り物があるという朗報がもたらされました。

さっそく試乗するべく、南青山一丁目のホンダ本社に向かいました。薄々予測しておりましたが、その乗り物はシニア向けの電動カート。「安心」「快適」「簡単」にこだわった製品で名称は『モンパル』。

でも今の自分に唯一乗れるのは、このタイプしか残されていないので贅沢は言えません。パンフにも「運転免許不要」と明記されています。そしてうれしいことに消費税非課税品です。デザインもシルバーとのバイカラーも、よく見たらおしゃれです。

アクセルはハンドルをグリップすることで入り、離すと止まる。速度は1から6までダイヤルで調節できて、左上にブレーキがある、と基本的な操作方法を教えてもらい、街に出ました。

運転とは無縁に生きてきたので、内心無事に行って帰ってこられるか心配でしたが、モンパルは歩行者扱いなので、歩道を進んでもOKだと聞いて安堵しました。

最初は目盛り1(=1km/h)でおそるおそる進んでいましたが、大丈夫そうだったので次第に2、3、6とスピードアップ。「シュイーン」というおさえ気味のモーター音がそこはかとなく上品で、シニア世代に受けるのも納得です。

なんといっても椅子みたいに脚を閉じて普通に腰かけられるのが女として嬉しいです。つねづね自転車のサドルにまたがるという行為に抵抗感を抱いていたので……(そもそもサドルの形状もひわいな気がします)。とにかくモンパルなら、貴婦人が馬車に乗るように優雅に座れるのがすばらしいです。

目線は約100cmの高さで、前の人の背中を追う感じです。子どもの時の目線に戻ったようで年齢退行&リフレッシュ。

■60代前後は男女ともガン見して立ち去る

快適な走行で青山通りを進むと、高級車のディーラーが多いのが目につきます。ベントレー、ランボルギーニ、フェラーリ、テスラ……。

しかし電動カートにしか乗れない身としては、高級車を見ても特に物欲にかられることなく、平穏な気分でスルー。途中、コンビニや和菓子屋に気軽に立ち寄ったりしました。停めやすくて便利です。

交差点は人が多くて、ぶつからないように気を遣いました。珍しい乗り物だからか、すれちがう人はチラ見して道を開けてくれます。反応は年齢によって様々で、子どもたちは振り返って見るくらい気にしていました。会社員の男女は、さっと一瞥。そして60代前後は男女ともガン見してきます。その視線はどこかうらやましそうです。

特に手動カートを押していたおじいさんは、すれ違いざまに物欲しげな眼差し。青山のセレブ住人風男子が散歩で連れていたパグ犬は、興奮して鼻息荒く並走してきました。犬の狩りの本能を刺激するサイズ感だったのかもしれません。

■シニアカーは善良な市民を演出する

50分ほど走り、青山通りの信号を渡って逆方向へ。おそれ多くも赤坂御所の近くに行ってみました。

石垣を横目に、御所の西門まで行き、旋回して戻ろうとしたら焦って西門に突っ込みそうに。でも警備員は特に何も言わず、見逃してくれました。やはりモンパルの、人に警戒心を抱かせないソフトなデザインのおかげです。電動カート=シニアというイメージがあるからか、乗っている人を無害で善良な市民に見せる効果もあるようです。

無事にホンダ本社へと帰還し、めったにない乗り物体験で緊張していた心を、アシモのショーが癒してくれました。久しぶりに見ましたが、やはりテンションが高まります。歩く時若干腰を落とした姿勢なのが謙虚で好感度大。ほかにも、手話とか小走りとか片足ケンケンとか披露していて、いつのまにか芸の幅が広がっていました。

アシモのバランス感覚には驚きましたが、さすがHONDA。モンパルの安定感も半端なかったです。乗っているシニア世代の経済的な安定感を象徴しているかのようでした。いつか私もその域に達し、モンパルが似合う大人になりたいです。

■無事にホンダ本社に戻り、ASIMOと触れあう

約2時間のモンパル試乗を終え、無事にホンダへ戻ってきた辛酸なめ子さん。ユニカブちょい乗りの後、アシモのデモンストレーションショーを堪能。小走りや指の動きなど進化に驚いた様子。

ホンダ本社1階のウエルカムプラザでは1日2回アシモのショーが実施され、最新モデルを多数見ることができる。

■試乗を終えて……。辛酸なめ子さんに一問一答

■モンパル試乗後の今の感想は?
カロリーも使わず、体力的にラクでした。シニアに限らずいろんな世代が堂々と乗れる世の中の認識になってほしいと思いました。

■モンパルのよかったところは?
さり気なく歩行者と溶け込めて進める感覚です。

■モンパルの好きでないところは?
荷物を置くスペースが小さいこと。

■操作関連で印象に残ったものは?
方向転換が意外と簡単でした。

■運転中はどんな気分でしたか?
視線が低くなったので、とても新鮮な気分で運転しました。

■モンパルを人間に例えると、どんな人ですか?
優しい草食男子。ゆっくり歩くし。

■人生のなかで、自分で操作する乗り物は何に乗りましたか?
自転車は小3の時に一度挫折。大人になって再度乗ってみましたが、まったく進まず再度挫折しました。

■では、今乗れる乗り物は?
以前乗った3輪車のウォーキングバイシクルと今回乗ったシニアカーの2つだけ。今回、私が乗れる2台めに出会いました。

■クルマの助手席などに乗っている時、何をポイントにしますか?
座り心地と乗り降りのしやすさ。

■なぜ、運転免許を取ろうとしないのですか?
運動神経ゼロが大きいです。

■クルマを運転している人に対してどういう感情を抱きますか?
尊敬します。右折する人や高速道路に乗れる人は凄いです。

■もし自分に運転免許があるのなら何を運転したいですか?
オシャレなフランス車。築地(市場)を走るEVのターレー。

■好きなクルマは何ですか?
マイバッハ(大金持ちが乗っているので)。一種の威圧感は大事です。

■今日モンパルに乗り、クルマの免許を取りたくなったのでは?
モンパルでいいと思いました。