暴行で死亡「格闘技の練習台だった」 元同級生が供述
大阪府河内長野市の専門学校生、工藤勇人(はやと)さん(19)が自宅近くの公園で6月に私立高校時代の同級生男子2人から暴行を受け、死亡した。傷害容疑で逮捕された2人は「格闘技の練習台だった。高校時代から50回以上暴行した」などと供述。府警は在学中からのいじめが背景とみて計4件の暴行容疑で2人を追送検し、4日、司法解剖結果とともに発表する。捜査関係者への取材でわかった。府警によると2人は事件当時19歳だった同市の元専門学校生(20)と大学生だった奈良県橿原市の少年(19)。元専門学校生は柔道経験者で、少年は大学で日本拳法部に所属。6月8日、工藤さんを意識不明の重体にしたとして傷害容疑で逮捕、家裁送致された。
工藤さんは7月4日に死亡。2人は検察官送致(逆送)された。大阪地検堺支部は7月17日、元専門学校生を傷害致死罪で起訴。少年の捜査を続けている。
捜査関係者によると、2人は事件当日の正午ごろに工藤さんの自宅を訪ねて近くの公園に連れ出し、午後2〜4時に断続的に顔や腹を50発以上殴ったり、柔道の払い腰の技をかけて投げつけたりしたと供述。さらに近くの別の公園に移動し、暴行を続けたという。
2人は工藤さんに「技を出せ」と迫り、胸を殴らせるなどした。元専門学校生は「動きをかわし技を出す実践的練習のため。周りに見られても、お互い様だと言い訳ができると思った」と話しているという。午後5時半ごろ、2人の近くで工藤さんが倒れているのを近所の住民が見つけ、110番通報した。
2人は高校2〜3年生のときに工藤さんと同じクラスだった。供述によると、当時から駐車場などで暴力を振るい、夜の川に裸で飛び込ませたこともあった。事件の約1年前には総合格闘技で使うオープンフィンガーグローブを購入。「工藤さんを殴るためだった」と述べており、事件当日も持参していたという。
少年は「10万円以上まきあげた」とも供述。2人の旅行代や飲食代などに充てたという。工藤さんについては「暗いやつ。『陰キャラ』と呼んでいた。友達ではなかった」と話しているという。
府警が2人の携帯電話を調べたところ、1月や4月にも「動くサンドバッグや」などと言いながら殴ったり蹴ったりする動画があった。記録されていた4件の暴行事件について、府警は7月15日に追送検した。
工藤さんが通っていた高校の教頭は「(2年生時に)工藤さんから友人関係で嫌なことがあったという申告があり、調査したが、いじめは把握できなかった」と話している。
■いじめ心配、工藤さんの母「悔しい」
「ここまで冷酷な目に遭っていたと気づけなかったのが悔しい」。工藤さんの母親(55)は語った。