バイオ医薬品、米豪で進展=最終決着目指し協議継続―TPP閣僚会合、4日目へ
日米など12カ国が大筋合意を目指す環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は2日夜(日本時間3日午前)、3日目の全体討議を行った。最先端のバイオ医薬品で開発会社に独占的な販売を認める「データ保護期間」について、対立する米国とオーストラリアの調整の進展を確認するなどした。討議は20分程度で終了した。
甘利明TPP担当相は討議終了後、「進展は見られたが解決には至っていない」と語り、合意に向けて3日午後(日本時間4日午前)まで交渉を続ける方針を明らかにした。当初2日間の予定だった閣僚会合は4日目に突入する。
交渉筋によると、今後は実務者レベルで2国間・少数国間の協議を断続的に行い、3日午後(同)までの最終決着を目指す。甘利担当相は日本にとって懸案だった自動車分野の交渉について「あと一歩のところまで来た」とし、合意への道筋が見えつつあるとの認識を示した。
残る課題で最大の焦点は、医薬品の開発データ保護期間の扱い。これまで12年を主張してきた米国は、5年以下を求める豪州や新興国に歩み寄る姿勢を示し、「実質8年」とする案が検討されている。ただ、複数の交渉国関係者は「チリは依然として5年以下を主張し譲らない構えだ」と話し、8年で着地できるかは予断を許さない。
酪農大国のニュージーランド(NZ)が日本や米国、カナダなどに市場開放を求める乳製品の交渉も、落としどころが見えない。甘利担当相はNZの交渉姿勢を「現実的な対応になったが、米国とは課題が残る」と指摘。2日の全体討議でも乳製品についての報告はなかった。
また、日米両政府は今後閣僚会談を行い、米国産のコメの輸入枠拡大で合意を目指す。日本が「聖域」とする農産物重要5項目のうち、牛・豚肉、小麦、砂糖は実質的な協議を終えたが、コメは詰めの議論が残っている。日本は、米国産コメの輸入枠を10万トン規模で引き上げることを検討している。