シャープ 本体に出資案が浮上 産業革新機構から
経営再建中のシャープが、官民ファンドの産業革新機構から本体への出資を受ける案が浮上していることが10日分かった。社外分社化する液晶事業に、革新機構が出資する案を協議中だが、円滑に進められるか不透明なため、本体出資で財務体質の改善を目指す。社外分社化も引き続き模索するほか、太陽電池などの事業についても、他社への売却などによる再編や構造改革を急ぐ。シャープと革新機構は、液晶事業を社外分社化した場合の出資可否を判断するため資産査定を始めており、助言役の金融機関をそれぞれ選定した。今後、本体への出資の可否や、持ち株比率についても話し合う。
革新機構を所管する経済産業省は、液晶技術の海外流出を懸念している。浮上している案によると、本体出資で財務体質を改善した後、液晶事業を社外分社化し、競合する液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)と事業統合を検討する。
だが、シャープ本体への出資は、事実上の救済策と受け止められる恐れがある。革新機構は企業の特定事業について、先端技術を伸ばすために出資する組織のため、経産省内では、シャープ本体への出資は難しいとの意見が根強く、本体への出資交渉は難航が予想される。