日本茶・コーヒー、ロシア市場狙え 京都の企業、相次ぎ進出

京都の茶製造やコーヒー卸などの企業が、ロシアに相次ぎ進出している。紅茶の愛飲家が多いため、店舗展開や輸出を通じて販路を開拓する狙いがあり、巨大市場に熱い視線を注ぐ。舞鶴港(舞鶴市)を経由するロシアとの定期便の運航開始を受け、京都府も進出を後押ししている。
 茶製造販売、舞妓の茶本舗(京田辺市)は、年内にウラジオストクの高級スーパー向けに抹茶と玄米をブレンドしたティーバッグの輸出に乗り出す。ロシア語のホームページを設けて通信販売を行ってきたが、取引量の拡大を目指す。
 日本茶をアピールするため、抹茶を使ったチョコレートの菓子も合わせて販売する。田宮正康社長は「日本製品の安全性は現地でも有名で、少しずつ魅力を浸透させたい」と期待する。
 コーヒー焙煎(ばいせん)卸の小川珈琲(京都市右京区)は、ウラジオストクのスーパーや喫茶店から依頼を受け、昨夏から豆の輸出を始めた。現地の取扱店で挽き方や抽出を指導中で「紅茶に代わるホットドリンクとして需要が見込める。極東を足がかりにシベリアにも進出したい」(総合開発部)と意気込む。
 今春、サンクトペテルブルクに日本茶専門店を初めて開設したのは、福寿園(木津川市)。20〜40代の若い客が多いのが日本との違いといい、「入れ方から丁寧に説明し、茶文化を根付かせたい」(広報担当)と話し、試飲販売に力を入れている。
 日本海の境港(鳥取県)から韓国、ロシアを結ぶ国際フェリーの航路が7月から舞鶴港に延伸した。このため府は9月にウラジオストクで日本の茶やコーヒー、食品などを扱う19社を集め、現地バイヤーとの商談会を開いた。府海外経済課の担当者は「反応は上々でバイヤーからの引き合いも多かった。今後も広がりを見せるはず」と手応えを示した。