サンマ 記録的不漁、過去最低の恐れ 価格1.5倍に高騰

秋の味覚、サンマが記録的な不漁に見舞われている。全国の漁獲量は昨年同期比でほぼ半減。終盤を迎えている北海道東部の主要4港でも前年比3分の2強にとどまる。記録的不漁に終わった2013年との同期比でも7割を割る超低水準で、過去最低の水揚げに終わる恐れが出てきた。大型魚が8割を占めた昨年に比べ小ぶりの魚が目立つ一方、浜値(港での取引価格)は品薄感から前年の約1.5倍に高騰している。

5年連続水揚げ日本一の北海道根室市花咲港では17日、1600トンを超えるサンマが水揚げされ、港は活気づいた。

 だが、都道府県などで構成する漁業情報サービスセンター(東京都中央区)の速報値によると、15日現在の全国の漁獲量は5万5050トンで前年同期比48%減となり、水揚げ不振が続いている。これは記録的不漁だった13年の同期(8万751トン)の約68%に過ぎない水準だ。

 例年であればこの時期は道東の沿岸に漁場が形成され一晩で満船となってピストン操業している時期。だが、今年は往復に一昼夜以上かかる300キロ前後沖合に漁場が形成され、水揚げ不振に拍車をかける。同センターの渡辺一功(かずよし)漁況グループリーダー(45)は「このままのペースだと、漁獲量が過去最低の可能性もある」と危惧する。

 原因の一つと指摘されているのが、日本近海に来遊する資源量の減少だ。水産総合研究センター東北区水産研究所(宮城県塩釜市)が今年6〜7月に実施した漁期前調査で既に、日本に来遊する推定資源量は13年(180万トン)の4分の3(136.1万トン)にとどまり、不漁の可能性も懸念されていた。今後は三陸沖に漁場が南下するが、公海で台湾や中国、韓国の外国船が操業を終えた後の魚群を追いかけることになり、「漁獲量に影響が出てくるかもしれない」と渡辺さんは懸念する。

 釧路水産試験場の稲川亮・資源増殖グループ研究主任(37)は、「今年は資源量の少なさに加え台風や低気圧が道東沖を何度も通り、たびたび休漁を余儀なくされている。それに加えて漁場が沿岸に形成されないなど悪条件が重なっている」と複合的な背景を指摘する。