大勝軒、仲裁交渉決裂!本家・坂口氏「飯野氏聞く耳持たない」対立から3週間…修復不可能

人気ラーメン店「東池袋大勝軒」(東京豊島区)の創業者の故・山岸一雄氏(享年80)の弟子約60人で構成された互助組織「大勝軒のれん会」の分裂騒動で、仲裁に入った本家の「中野大勝軒」に対し、「東池袋―」2代目店主・飯野敏彦氏(47)が「(分派との)話し合いには応じられない」とし、交渉が決裂したことが27日、分かった。直談判した「中野―」の坂口光男社長(59)は、「トシ(飯野氏)の気持ちは固く、これ以上話しても聞く耳を持たない」と仲裁を断念することを明かした。

「のれん会」から山岸氏の弟子が離脱し31店主で結成した「大勝軒 味と心を守る会」と2代目・飯野氏の対立が発覚してから3週間余り、坂口社長の仲裁によって事態が好転すると思われていた。

 「飯野氏にこれまで電話やメールなどで連絡をしてもほとんど返答がなかった」という坂口社長は、26日午後、都内で開催されている「東京ラーメンショー」に出店中の飯野氏のもとへ足を運んだ。「山岸さんの弟子たちに、仲が良かった頃のように戻ってほしい。ノーサイドにしたい」という思いを伝えるためだった。

 しかし、その“親心”は、あっさり打ち砕かれた。和解を促すと飯野氏は「私が今、話すことはない」と返答したという。坂口社長は諦めず「今後、守る会側と直接話し合うことはできないのか」と問うと、「話し合いに応じるつもりはない」と答え、「話し合いに応じる」としていた「守る会」側と、正反対の反応だった。

 結局、約15分間の話し合いの中で、坂口社長は何度も「お互いを理解するためにも会って話す方がいい」と諭したが、飯野氏は前言撤回することなく、物別れに終わった。「想像以上に、トシの意思は固い。関係修復は難しい」と硬い表情を崩すことはなかった。

 「中野大勝軒」は山岸氏が61年に独立する前に修業していた店で、いわば「東池袋大勝軒」の本家に当たる。さらに坂口社長は山岸氏のはとこだ。一縷(いちる)の望みをかけて、「仲直り」を頼み込んだが、飯野氏に届かなかった。「おそらくこれ以上言っても、トシは聞く耳を持たない。黙っていた方が得策と考えている。仲裁を続けるのは無理だ」と無念さをにじませた。

 周囲の関係者からも「唯一、騒動を収められそうな人」と期待されていた坂口社長の仲裁断念。大勝軒は分裂状態を解消する大きな機会を逸した。さらに第三者としての立場で他に仲裁に動く人物はおらず修復は不可能といっていい状態となった。