フィギュア 選手から職人へ…鈴木明子さん、振付師の道に
選手から職人へ−−。昨年3月の世界選手権を最後に現役を引退したフィギュアスケートの鈴木明子さん(30)が、振付師の道を歩み始めた。手掛けたのは、6日開幕のグランプリ(GP)シリーズ中国杯に出場する本郷理華選手(19)=中京大=のショートプログラム(SP)。情感あふれる表現力を持ち味に五輪2大会に出場した鈴木さんは「良さを引き出し、輝けるように磨いてあげられる『職人』になりたい」と新たな道で再び世界に挑む。描いたのは、カナダの劇団シルク・ドゥ・ソレイユの「キダム」の曲を用い、「日常の世界から、摩訶(まか)不思議な世界に落ちていく。そこから自分が進んでいく」というストーリー。4月から振り付けを始め、時には自ら滑ってイメージを伝えた。「最初はすごく不安だったが、自分が思うものを信じよう」と決意。本郷選手が10月にフィンランドで開催された今季初戦のフィンランディア杯で優勝し、ようやく一安心できた。
鈴木さんは子供の頃から振付師に興味を抱き、「この曲だったらこう踊りたい、衣装は絶対この色で、とイメージするのがすごく好きだった」という。昨季、自身のアドバイスが本郷選手のGPシリーズ・ロシア杯優勝に結びついたことが、振付師デビューのきっかけになった。
24歳で2010年バンクーバー五輪に初出場し、全日本選手権初優勝は28歳だった鈴木さん。「周りの人に時間と愛情をかけて、丁寧に磨いてもらったから輝けた」という思いがある。だからこそ今後、振り付けにも「スケーターが輝くように」との思いを込めていくつもりだ。