大手銀、海外で明暗 三菱UFJは米国好調 三井住友はアジア低迷 9月中間

大手銀行5グループの平成27年9月中間連結決算が13日、出そろった。最終利益の合計は前年同期比5・3%減の約1兆5432億円と2期連続で減益となった。日銀の大規模金融緩和によって国内の貸し出し競争は激化。各行は海外で攻勢を強めるなどして収益の確保に努めている。新興国の成長鈍化や相場変動のリスクがくすぶる中、戦略の違いが勝敗を分けた。


本業のもうけを示す実質業務純益(単体または傘下銀行の合算)の5グループ合計は前年同期比0・7%減の約1兆5888億円。最終利益が伸びたのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)とみずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)の3社。三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスは最終減益だった。


貸出金利から預金金利を差し引いた「利ざや」が低下傾向にあるため、3メガバンクはいずれも海外に収益源を求めている。米国を中心に収益を拡大した三菱UFJとみずほに対し、三井住友はアジア経済鈍化の直撃を受けた。


三菱UFJは欧米を中心に貸し出しを伸ばし、資金収益が拡大。「米国は比較的堅調、欧州も底打ちした感がある」(平野信行社長)という。1千億円を上限とする自社株買いも併せて発表した。


みずほは米国を中心に非金利分野の稼ぎが全体の収益を押し上げた。佐藤康博社長は「国際展開をしている優良企業に対し、貸し出しを“入り口”に社債や株式発行のような証券ビジネスにつなげている」と説明した。


三井住友は出資先のインドネシア年金貯蓄銀行(BTPN)の株価下落を受け、550億円の減損処理を実施。ただ宮田孝一社長は「BTPNとは将来にわたって付き合いたい」と述べた。


下期は各行とも新興国経済の下ぶれリスクを警戒し、保守的にみている。「東南アジア経済が中国の成長鈍化の影響をどの程度受けるか気にかけている」(りそなの東和浩社長)、「下期は米英を中心に残高を伸ばしたい」(三井住友トラストの北村邦太郎社長)などの声が上がった。