東芝不正会計 課徴金70億円超を勧告へ 監視委
東芝の不正会計問題で、証券取引等監視委員会は近く、金融商品取引法違反(有価証券報告書などの虚偽記載)の疑いで、同社に過去最高となる課徴金70億円超の納付命令を出すよう金融庁に勧告する方向で調整に入った。課徴金額は企業の時価総額などから算出される。対象期間は最長で過去5年間で、虚偽の決算情報に基づいて株券や社債を発行していた場合は、発行額に応じて加算される。
東芝は今年9月、第三者委員会により不正会計と指摘された2009年3月期以降の決算を修正。その結果、12年3月期の最終(当期)損益は701億円から32億円の黒字に、13年3月期は774億円から134億円の黒字となり、利益がそれぞれ大幅に減少した。
監視委はこの2期について「投資家の判断に影響を与えた」と認定し、課徴金の対象とする方向。東芝はこの2期の決算を基に2000億円の社債を発行しており、この分も課徴金として加算される見通しだ。
また、東芝は197億円から539億円に赤字が拡大した10年3月期決算を基に1200億円の社債を発行していた。この期の決算自体は課徴金の対象とならないが、社債発行分は課徴金が課される見込み。
これらを合わせると、課徴金は計70億円を超えるが、その他の期については損益への影響が少ないことなどから対象とならない見通し。東芝は15年3月期決算で、課徴金納付に備えた引当金として84億円を計上していた。