架空経費 2800万円脱税 容疑の調査会社告発

 保険調査員の旅費や交通費を架空計上するなどして約2800万円を脱税したとして、東京国税局が東京都目黒区の保険調査会社「トータルリサーチ」と諸崎浩幸社長(44)を法人税法違反容疑で東京地検に告発していたことが分かった。

 関係者によると、諸崎社長は保険事故の調査員が立て替えた経費について、調査員に支払う正規の経費分とは別に、経理担当者に指示して架空の旅費や交通費を記載した精算書類を作成。二重に作った書類を基に旅費や交通費を架空計上したり社長の個人的な支出を費用計上したりして経費を水増しし、2014年10月期までの3年間で約1億1000万円の所得を隠して法人税約2800万円を免れた疑いがある。

 隠した所得は、社長の親族名義で預金していた他、社長からの貸付金として会社で保管していたとみられる。毎日新聞の取材に、同社代理人の弁護士は「税務当局から指摘を受けた事実はあるが、詳細についてはコメントしかねる。当局の見解が確定し次第、指摘に沿って速やかに修正申告及び納税を行う予定」と文書で回答した。

 民間信用調査会社などによると、同社は02年11月創業。不正があったとされる12年10月期には5階建てビルを購入して世田谷区から目黒区に移転し、前期を31%上回る売上高2億1000万円を計上した。