ナマコ密漁 海峡挟み暴力団謀議?荒稼ぎ

陸奥湾のナマコ密漁事件で、ともに指定暴力団で青森県側の稲川会系と北海道側の山口組系が組織を超えて手を組み、海峡を挟んで荒稼ぎしていた実態が青森県警の捜査で浮かび上がった。密漁場所への手引きと、その謝礼に当たる場所代の支払いを繰り返していたことが判明。県警は、組員らが水産加工会社などを取り込みながら1年程度で少なくとも2億円を得ていたとみている。

捜査関係者によると、密漁を手引きしたとして11月27日に逮捕された稲川会系組員の無職佐々木強容疑者(42)=青森県むつ市=らにはことし、漁業法違反(密漁)などの罪で起訴された無職紙谷聡被告(44)=函館市=らから、手渡しや口座振り込みで1回当たり数万〜数十万、計数百万円が渡っていた。金額はナマコの取れ高などに応じて決めていたという。

県警はこれまで、函館市などに住む山口組系組員や紙谷被告ら密漁の実行グループ8人を逮捕した。グループは主に道内で密漁をしていたが監視が強化され、昨年9月に拠点を青森県側に変更した。

陸奥湾内の事情に不案内な実行グループが、青森県側の窓口となった佐々木容疑者らと事前に電話などで連絡を取り合っていたため、県警は密漁の謀議があったと判断。稲川会系幹部らも関わっているとみて調べている。