ホンダ:定年65歳に延長、労働条件見直し来年度導入へ−労使協議
安倍晋三政権が高齢者を含め1億総活躍社会を目指す中、ホンダは65歳への定年延長や家族手当ての育児・介護手当てへの転換など労働条件を見直し、2016年度中の導入を目指している。国内ホンダの活力を高める。
発表資料によると、労働組合と協議中の労働条件の見直しでは、60歳の定年を65歳に引き上げるほか、60−65歳の間に自分で定年時期を決める選択定年制を導入する。家族手当てを止めて育児・介護手当てに転換する。在宅勤務や育児のための短時間勤務、半日の有給休暇も導入する。給与体系も見直し、給与や賞与で成果による格差を拡大する。定年延長に合わせた退職金カーブの見直しなどが柱となっている。
ホンダ広報担当の中村勉氏によると、労使間では13年秋ごろから見直しについて交渉をしてきており、詰めの協議を進めている。対象になるのはホンダとグループ5社の国内従業員で約4万人。
国際的な人材紹介会社ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジ氏は、日本が直面している人口構造の変化という時限爆弾を前に、現有能力の有効活用が不可欠になっていると指摘。「われわれが指摘してきたように反論の余地がない労働市場での課題に対して、日本を代表する企業の一つが対応をとることは喜ばしい」とコメントした。
日本では少子高齢化が進み、労働力人口が減少していく中、公的年金の受給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられている。政府は13年に改正高年齢者雇用安定法を施行、企業には希望する社員に対して65歳までの安定雇用の確保を求めている。
厚生労働省の就労条件総合調査によると、4432社から回答を得た今年1月1日現在の状況で、定年制を定めている企業は92.6%だった。このうち、定年60歳は80.5%、65歳以上は16.9%などとなっている。