パナソニック 米冷蔵庫大手を買収 1854億円
パナソニックは21日、業務用冷蔵ショーケースを手掛ける米ハスマン社(本社・ミズーリ州)を15億4500万ドル(約1854億円)で買収すると発表した。来年4月1日付で完全子会社化する。世界最大市場の米国で老舗メーカーを傘下に収めることで、世界展開に向けた事業基盤を一気に固める。食品流通業界向けにパナソニックが持つ店舗用の照明や空調、防犯カメラなどと組み合わせて売り込み、成長戦略の柱の「BtoB(企業向けビジネス)」を伸ばし、2018年度の連結売上高10兆円目標達成の弾みにしたい考えだ。ハスマン社は1906年設立。スーパー向け冷凍・冷蔵ショーケースの製造・販売が主力で、14年12月期の売上高は約1300億円、営業利益は約90億円。従業員5830人で、米市場シェア2位を誇る。また、中南米やオーストラリア、ニュージーランドなど太平洋地域でも売上高首位を競う。津賀一宏社長は21日夕、大阪府門真市の本社で記者会見し「BtoB分野で業務用冷蔵ショーケース事業を、航空機向け娯楽システムに次ぐ2番目の柱にしたい」と買収の意義を強調。パナソニックが目指す18年度のBtoB売上高2兆5000億円の目標達成に意欲を示した。
パナソニックは旧三洋電機から引き継いだ業務用冷蔵ショーケース事業を日本、中国、マレーシア、台湾で展開し、シェア首位。今回、米国や中南米や太平洋地域に強いハスマン社を傘下に入れることで、業務用冷蔵ショーケース市場でシェア世界一になるという。
パナソニックの食品流通向け事業の売上高は現在約2000億円。18年度に3000億円にする計画だったが、今回のハスマン買収を機に目標を1000億円超引き上げる方針。パナソニックが持つ節電技術を生かしてハスマンの製品の省エネ性能などを強化するほか、遠隔監視システムなどを組み合わせた新商品も提案していく。