文科次官辞意 天下りあっせん「他省庁でも」

「国民の批判は強い」「やむを得ない」。文部科学省の「天下り」あっせん問題で同省事務方トップの前川喜平事務次官(62)が辞任の意向を固め、省内に衝撃が広がった。「他の省庁ではもっと大規模な天下りあっせんがあるのは霞が関では公然の秘密。文科省だけで収束するとは思えない」。他省庁への波及の可能性を指摘する声も出た。

 関係者によると、文科省では以前から、人事課の幹部職員らが中心になって、個室が与えられる各局の幹部職員らの天下りをあっせんしてきたという。ある職員は「実際にあっせんに関わるのはごく一部だが、前から続いている」と明かした。

 2007年の改正国家公務員法成立で天下りの規制が強化されたこと自体は多くの職員が認識しているが、再就職については定年退職が近くならなければ意識することは少ないため、細かな規制の内容について知る職員は多くはないという。

 一方、この職員は「他省庁ではもっと大規模に天下りが行われ、人事課の課長級以下の職員までかかわっている役所もあると聞く。再就職等監視委員会に情報提供があって調査が始まったと考えられるが、『なぜ文科省だけが責められるのか』と多くの職員が感じているのではないか」と省内の“本音”を代弁した。

 また、ある幹部職員は「首相官邸としては次官の辞任で幕引きを図りたいのだろうが、他省庁でも天下りがあるのは霞が関の常識で、他の役所にも問題が発展する可能性がある。その場合にも次官を辞めさせるのかどうか。あしき先例になる恐れがある」と話した。

 ◇最近の主な省庁トップの辞任・退任(※組織名、肩書は当時)

2011年8月 原発シンポジウムの「やらせ問題」の責任を取り、経済産業省の松永和夫事務次官ら関連省庁トップ3人が辞任

 10年12月 元特捜検事の証拠改ざん事件後、大林宏検事総長が辞任

 09年9月 公務員制度改革を巡り政府・自民党と対立した谷公士人事院総裁が辞任

 07年8月 小池百合子防衛相と対立した守屋武昌事務次官が退任

 02年1月 牛海綿状脳症(BSE)問題を受け、農林水産省の熊沢英昭事務次官が辞任

 02年1月 小泉純一郎首相が国際会議でのNGO排除問題を巡り、外務省の野上義二事務次官を更迭

1999年11月 茨城県東海村の臨界事故とH2ロケット打ち上げ失敗を受け、科学技術庁の岡崎俊雄事務次官が辞任

 98年11月 防衛庁調達実施本部の背任事件を巡る証拠隠滅疑惑を受け、秋山昌広事務次官が辞任

 98年1月 大蔵検査官の接待汚職事件を受け、大蔵省の小村武事務次官が辞任

 96年11月 社会福祉法人からの利益供与問題で厚生省の岡光序治事務次官が辞任