写真賞 難病の娘、レンズで捉え続け…5年余で2万枚
難病「結節性硬化症」を患う5歳の長女と暮らしながら、写真家として活動する和田芽衣(めい)さん(33)=埼玉県飯能市=が、若手写真家の登竜門とされる「第12回名取洋之助写真賞」で奨励賞に輝いた。病気の進行で「今の笑顔が見られなくなるかも」と長女を撮り続けた約2万枚から30枚を選んだ「娘(病)とともに生きていく」が受賞作。「ありのままの日常を伝え、同じ境遇の人たちの支えになりたい」との思いを込めたという。長女結希(ゆき)ちゃんに異変を感じたのは、生後9カ月のころ。眠くないのに前傾姿勢になり、体の左側に力が入らないような様子に気づいた。脳に病変が見つかり、入院。「目の前の全てが失われるかもしれない恐怖感」を抱いた。
できることができなくなるかもしれない。先の見えない不安の中で、「何でも残しておこう」と考え、カメラを新調した。ファインダーを通すと、少し落ち着いた気持ちで結希ちゃんの顔を見ることができた。
受賞作では、生後間もないころから、検査・治療を受けている様子、発作でいつ目を覚ますか分からない状況でベッドに寝ている姿などを選んだ。妹と身を寄せ合い穏やかに眠ったり、病院のプレールームではしゃいだり。自宅、病院で結希ちゃんが過ごしてきた日々を捉えている。心象を的確に表現するため、モノクロを選んだ。「不安、恐怖感をそのまま、伝えたかった」と振り返る。
成長と共に結希ちゃんの症状は徐々に安定し、今年4月からは小学校に進学することが決まっているが、病気との暮らしは一生続く。和田さんは「どんよりとした暗い気持ちも映し出し、同じような不安を感じている人が『私も同じ』と共感してもらえたら、うれしい」と語る。難病の子どもと親の会を知人と設立し、活動を始めている。
受賞作は27日〜2月2日まで、東京都港区の富士フイルムフォトサロン東京で、2月17〜23日まで、大阪市中央区の同フォトサロン大阪で展示する。
◇結節性硬化症
皮膚や内臓、骨などさまざまなところに良性の腫瘍などができる病気。医療費助成の対象になる国の「指定難病」の一つ。年齢によって症状は異なるが、てんかん発作や知的障害などが起こる。未診断の人を含め、人口6000人あたり1人いると推定されている。






