神戸・小1女児殺害 母「前例だけ理由に…」悔しさにじむ

大阪高裁判決は死刑破棄 母「到底受け入れられない」

 幼い命を理不尽に奪った被告に対し、司法が出した結論は無期懲役だった。神戸市長田区の小1女児殺害事件で、裁判員裁判が選択した死刑を破棄した10日の大阪高裁判決。「判決は到底受け入れられない」。女児(当時6歳)の母親(32)は談話を出し、事件の計画性を重視する先例を踏襲した判決を厳しく批判した。

 午前11時過ぎ、高裁201号法廷。君野康弘被告(50)は、オレンジ色のカーディガンに灰色のスエットズボン姿で入廷した。

 「被告人を無期懲役とする」。樋口裕晃裁判長が主文を読み上げると、君野被告は証言台の前で直立したままだった。女児の母親は被告や傍聴席との間に仕切りが設けられた席に座り、様子は分からなかった。判決の瞬間、傍聴席は一瞬ざわつき、ため息が漏れた。

 母親は控訴審でも被害者参加制度を利用。裁判官に遺族の無念さを述べ、「被告は死をもって犯した罪を償ってほしい」と訴えた。

 今年1月に読み上げた意見陳述によると、母親が女児の妹を保育所に送り届ける途中に小学校前を通ると、妹は「ねえねの学校」とつぶやく。菓子店に寄った際は、「これはねえねの分」と話し、お菓子を一つ余分に買おうとする。

 母親は夜中に目が覚めるたび、「娘を守ることができなかった」と自分を責めた。無力感から日常生活を送ることもつらく、定期的にカウンセリングを受けているという。

 母親は判決の言い渡し後、代理人を通じてコメントを発表した。「娘はひどい殺され方をして、最後はごみのように捨てられた」とした上で、「前例だけを理由に判断を覆すならば、裁判員裁判の意味がない」と悔しさをにじませた。そして、「検察庁には上告をしていただき、最高裁の判断を仰いでほしい」と望んだ。