東芝半導体買収へ日米連合=政投銀など構想浮上―中台韓の対抗軸に

東芝が売却する記憶用半導体フラッシュメモリー事業の入札に、日本と米国の企業やファンドが組んで参加する「日米連合」が官民で浮上していることが16日、明らかになった。日本政策投資銀行と米投資ファンドなどが組む構想がある。スマートフォン向けなどに成長が見込めるメモリーは日本が保持したい重要技術。入札で高額提示が予想される中国、台湾、韓国勢への対抗軸を形成するのが狙い。

 複数の関係筋によると、日米連合は政投銀など日本の金融機関や企業と、米系の投資ファンドや半導体メーカーの組み合わせが模索されている。政府系ファンドの産業革新機構が加わり、日米連合を後押しする可能性もある。

 東芝は、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)で原発建設費が膨らみ、2017年3月期に原発事業で7125億円の損失を見込む。WHは米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を検討しており、申請すれば、東芝の損失は1兆円規模に拡大する見通しとなっている。

 東芝はWHの破産法申請にも対応できるよう稼ぎ頭のメモリー事業の過半を売却し、1兆〜2兆円規模の資金を確保したい考えだ。3月中に締め切る1次入札には、シャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が強い意欲を示し、韓国の半導体企業SKハイニックス、中国系ファンドの参加が予想される。

 政府内には「中国にメモリー技術が渡るのは避けたい」(関係者)との思惑があり、東芝の綱川智社長も14日の記者会見で「国の安全(保障)にも絡むので意識しながら選びたい」と語った。ただ、「入札参加者の顔触れが固まらないと、政府系は動きにくい」(別の関係者)と日本企業に入札参加を促す声もある。短期間で中台韓への対抗軸を形成できるかが焦点だ。