社長選任に再び反対=株主総会へ賛同呼び掛け―出光創業家

出光興産の創業家は5日、29日開催の同社の定時株主総会で、月岡隆社長ら5人の取締役を選任する議案に反対する方針を代理人を通じて表明した。現経営陣が目指す昭和シェル石油との合併を「経営判断の誤りで必要性・合理性が乏しい」と批判し、昨年に続き反対票を投じる。他の株主にも賛同を呼び掛ける。

 出光昭介名誉会長と長男、次男、資産管理会社など創業家側の出光株の持ち分は計33.92%。経営統合など重要な決定を否決できる3分の1超を握り、合併への大きなハードルとなっている。

 創業家は5日公表した文書で、「生産者間の競争を減らすための経営統合は消費者本位の理念に反する」と指摘。代理人の鶴間洋平弁護士は記者会見で「(出光は)基本的に単独で経営を続けていくべきだ」と主張した。ただ、新たな取締役を選任する議案は出さない。

 昨年6月の株主総会は、創業家が企業文化の違いなどを理由に昭和シェルとの合併への反対を表明。業績不振を背景に、他の一部株主も取締役選任に反対したことで月岡社長への賛成票の割合は52.3%にとどまり、「薄氷」での再選となった。

 創業家はその後も合併反対の姿勢を崩さず、経営陣は当初、今年4月を予定した合併時期を無期限で延期した。一方で、出光は昨年12月に昭和シェル株式の31.3%を取得したほか、今年5月には昭和シェルとの業務提携を先行させる方針を打ち出した。

 今年の総会は、2017年3月期の連結純利益が過去最高になったことなどから、出光は「創業家以外に反対は広がらない」(幹部)とみている。ただ、合併を実現できない経営陣の責任を問う声が上がる可能性もある。