加工業者「困った」/ホタテ記録的高騰

青森県産ホタテガイの記録的な高値が県内加工業者の経営を圧迫している。消費者離れを警戒し、仕入れの上昇分を商品価格に転嫁しきれないからだ。高値は今後も続く見通しで、加工業者は採算悪化に頭を抱えている。

「加工品の価格を値上げせざるを得なかった。今年の県産ホタテは北海道産と比べて価格競争力で劣り、加工品が売れないのは当たり前だ」。平内町の加工業「アラコウ水産」の荒川幸一社長はため息交じりに話す。

県産ホタテの浜値は昨年も高かったが、中国向け輸出が好調だったため、高値で仕入れても在庫をさばけた。ただ、今年は昨年を上回る高値で「中国向けすら値段が合わない。利益が落ちる」(荒川社長)とお手上げの状態だ。

県内の別の水産加工業者も冷蔵ホタテの価格を値上げしたところ、4月の販売量が例年の7割、5月が同6割に落ち込んだという。同加工業者の社長は「スーパーは売れなくなれば取り扱いをやめてしまう。仕入れ値が上がっても、全てを商品価格に転嫁することはできない。われわれは板ばさみだ」と苦しい胸の内を明かす。

昨年4〜7月に、県産ホタテを約1500トン仕入れた北海道南地方の加工業者は「青森県産の値段が高すぎて、国内でも中国でも商品を売り切る自信がなかったので買うのをやめた」と話す。

県内の一部スーパーでは浜値の高騰を受け、活ホタテやボイルホタテが値上がりしている。「以前、5〜10枚のホタテを買っていたお客さんが1〜2枚に減らした」(青森市のスーパーふじわら栄町本店)など、買い控えの動きも出ているという。