「こんな人材がいたのか」社員旅行、交流の場に再評価 宴会敬遠、「研修型」に脚光

長時間労働などの職場環境を改善する「働き方改革」が浸透する一方、減っている社員同士の交流の場として社員旅行を積極的に活用する動きが広がっている。休暇がつぶれる、余興が嫌…。昔ながらの社員旅行は敬遠され縮小傾向が続くが、「内容重視」で交流活性化を目指す。従来の「宴会型」に代わり、学びにつなげる「研修型」の社員旅行も登場した。

「参加率が悪い」「毎年ネタ切れでマンネリ化している」−。人事コンサルティング会社「リンクイベントプロデュース」(東京)には、社員旅行に関するこんな相談が寄せられる。

 同社によると、典型的な社員旅行といえば、社員総出で温泉街や観光地に繰り出し、夜は宴会というパターン。社員のねぎらいや職場の潤滑油になればと、高度経済成長期から続くものの、嫌がる若手もおり、昨今の参加率は低調という。

「参加率が悪い」「毎年ネタ切れでマンネリ化している」−。人事コンサルティング会社「リンクイベントプロデュース」(東京)には、社員旅行に関するこんな相談が寄せられる。

 同社によると、典型的な社員旅行といえば、社員総出で温泉街や観光地に繰り出し、夜は宴会というパターン。社員のねぎらいや職場の潤滑油になればと、高度経済成長期から続くものの、嫌がる若手もおり、昨今の参加率は低調という。

「会社の魅力を再発見できる」

 「単なる宴会でなく、誰と何をするかが大事」。同社はアウトドアやスポーツ合宿を通じ、社員の研さんを図るプログラムを企業に提案する。昨秋は山梨県の湖畔で、建設設計会社が1泊2日のアウトドアイベントを実施。社員約50人が異なる部署やチーム同士で班を組み、昼は独創的なカレーをつくって審査員に発表、夜は会社の未来を語るワークショップに挑戦した。

 「日ごろ接しない社員と交流でき、こんな人材がいたのかと会社の魅力を再発見できる」とリンク社の担当者。働き方改革で社員同士が顔を合わせる時間が減る中、社員旅行は重要性を増しているという。

 人材派遣大手パソナも3月から、岡山県の旅行会社と連携し、社員旅行と人事研修を合わせた「研修ツーリズム」を提供。レジャーの合間に座学などを盛り込み、リーダーシップやマネジメント能力の開発につなげる。「特定部門や役職者に参加を限定することもできる」とパソナ。

「予算をかけて社員旅行しても、喜ばなければ仕方がない。」

 ただ、一部には社員旅行への抵抗感もある。人事・労務のシンクタンクの産労総合研究所(東京)が2014年に実施した調査によると、余暇の行事に取り組む企業100社のうち社員旅行実施率は46%で、1994年の実施率88・6%からほぼ半減。20〜50代の社員208人の賛否は「行きたくない」「行きたくないが仕事なので行く」が51・5%で、「行きたい」の37%を上回る。理由は「仕事の延長で気疲れした」「余興をやらされた」などだ。

 福岡市早良区の建設機材レンタル拓新産業(藤河次宏社長)は、社員旅行の回数を減らす代わりに、社員がやりたい企画を独自に提案するサークル委員会を拡充。アフター5のバスケットやバレーボール、週末のデーキャンプなどの企画を考え、社長が認めれば補助費を支給する。藤河社長は「予算をかけて社員旅行しても、喜ばなければ仕方がない。サークル活動でもコミュニケーションは十分に深まる」と語った。